第一章  問題関心

 

 観光目的の多様化が進み,様々なニーズによって今後新たな観光地が創出されていく可能性は大いにある。観光目的が多様化してきたことによって,これまでは観光資源と捉えられていなかったものが,観光資源として新たな価値を見出される可能性があるといえる。つまり,限られた地域資源を観光商品化できる可能性を多くの地域が秘めているということである。

これまでに,地域の魅力を高め,経済活動を呼び込むために地域を観光地化する動きは多くの事例で見受けられてきた。しかしながら,自然的観光資源や文化的観光資源を持ちながらも,その発掘がなされない(観光資源としての価値を見出されていない)場合も存在するであろう。また,観光資源としての可能性を有しながらも,様々な弊害があり,観光資源化されない場合も考えられる。本論では,岐阜県下呂市金山地区の「筋骨めぐり」が観光資源として発掘され,観光商品化されるまでのプロセスを事例に,観光地化の可能性を秘めた全国各地,特に過疎地域において,限られた地域資源の観光資源化(観光商品化)を達成し,そのうえで地域活性化に寄与できる可能性について言及したい。