第一章 問題関心

他人同士が1つの住居で共同生活をするシェアハウスという居住形態に住むことは、ワンルームマンションの家賃が高い海外では当たり前となっている。一方、日本ではワンルームマンションに住む人がほとんどである。久保田は「日本では他人と住むくらいなら、狭くても不便でも1人で住む方がずっと気楽で、面倒がなく、望ましいと考えられている」(久保田 200917)と述べている。おそらく多くの日本人が、気を遣いすぎて疲れそう、人間関係がうまくいかなかったらどうしようなどと考えるのではないだろうか。

このように、人間関係においてネガティブなイメージを持ちやすいシェアハウスをメディアはポジティブに描く。2008年に放送されたドラマ「ラスト・フレンズ」では、シェアハウスに住む男女5人が喧嘩をしたり助け合ったりしながらそれぞれの悩みに立ち向かう姿が描かれた。2012年から2014年まで放送されたリアリティバラエティ番組「テラスハウス」では男女6人のシェアハウス生活が撮影され、入居者同士の恋愛を絡めた内容が多く放送された。

メディア上で様々な描き方がされる入居者同士の関係であるが、実際のシェアハウスの入居者はどのような関係を築いているのかよく分からない。そこで、今回は富山市の一軒のシェアハウスを調査し入居者同士の交流の実態を明らかにする。また、どのような影響が入居者にあったのかを知ることで、入居者同士の関係性について自分の考えを主張したい。