1章 問題関心

これまで職業定着に関して、多く苦労してきたのは一般に女性であり、労働に関して男性は優位であった。しかし、女性職と呼ばれる職業領域においては男性が苦労している。矢原(2007)では、女性向きの職業とされてきた看護職に就く男性を主な調査対象とし、ケア労働に従事する男性について調査している。その中で実際のケア労働の場が、男性性を強調することもあれば、男性性を抑制する場合もあり、その場その場で対応していると述べている。では、他の女性が多数派となる職業に就く男性はどのような戦略をとっているのか。本調査では、男女比率に大きく差の出ている保育者(※1)に着目して考えていきたい。