第四章 分析

制服の着崩し率の高い者と低い者を比較して分析を行っている。グループ化の方法として、制服の着崩しの項目を経験のあるものに丸をつけてもらうような複数回答形式にし、丸の数をカウントした。丸が03個のグループと412個のグループに分け、丸が03個のグループを着崩し率の低いグループ、丸が412個のグループを着崩し率の高いグループとした。

 

 

第一節 同調意識

質問紙調査の結果とインタビュー調査の結果から、制服の着崩しと同調意識との関係について分析する。下記の図1-1は「周りの友達と同じ制服の着崩しをしたいと思っていたか」と制服の着崩し率とのクロス集計結果を表したものである。

1-1 

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1-1の結果をみると、「周りの友達と同じ制服の着崩しをしたいと思っていた」 という質問について、「あてはまらない」と答えた人の中で、着崩し率の高い人は18人(34.6%)であり、「あてはまる」と答えた人の中で、着崩し率の高い人は21人(63.6%)であった。周りの友達と同じ制服の着崩しをしたい人ほど着崩し率が高いという傾向が読み取れる。この結果から制服の着崩しは周りの人との「同調意識」が関係しているのではないかと考えられる。

 

下記の図1-2は、「周りの友達と同じ制服の着崩しをしたいと思っていた」と「友達と服装の傾向が違っていると気になるか」をクロス集計した結果である。

1-2  

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1-2の結果をみると、「友達と服装の傾向が違っていると気になるか」という質問に「気になる」と答えた人の中で、76.5%の人が「周りの友達と同じ制服の着崩しをしたいと思っていたか」という質問に「友達と同じ着崩しをしたい」と答えている。このことから、友達と服装の傾向が違っていることを気にする故に、同調意識から着崩しを行なう者がいることがわかる。

 

実際に制服の着崩しは同調意識が働いているのだろうか、以下のAさんBさんDさんのインタビュー内容から分析を行う。同調意識に関連のある発言を抜き出している。発言と発言の間があいているもの会話につながりはない。以下からのインタビュー内容もこのように統一する。

 

A:うーーん、なんかわりとみんなしてるからみたいな。みんなと同じような感じでみたいな。

 

A:謎なんだけど、みんなやってるからやる。みんな疑問に思いながらも、かわいい子とかがやってるから、じゃああたしもみたいな、

 

B:んーもともと校則のゆるい学校だったので周りの人がみな着崩してたんで・・という感じですかね。

 

B:両方あります。可愛く見せたいのと、長いと逆に目立つんで

 

D:うーん、でもやっぱり流行にのろう感は私服も制服も(あった)

 

D:可愛く着たいから。友達と同じ着崩しをしたいからとかですかね

 

私:なんかこの子と一緒におりたいから、同じような格好しとるっていうのはなかった?

D:ある、めっちゃダサかったらあれですもんね、なんかね、ある程度同じくらい、そういうのありますよね

 

A さんBさんDさんは共通して、「周りの友達と同じ制服の着崩しをしたいと思っていたか」という質問に対して「思っていた」、「友達と服装の傾向が似ていると気になるか」という質問に対して「気にならない」と答えている。よってAさんBさんDさんは比較的に同調意識が強い傾向にある。Bさんの「可愛く見せたい」Dさんの「可愛く着たい」といった発言があり、同調意識が強い人でも制服を可愛く着こなしたいという気持ちはある。しかし、Aさんの「みんながやっているから」Bさんの「目立ちたくないから」Dさんの「友達と同じ着崩しをしたいから」という同調発言をしており、次節で触れる同調意識が弱い傾向にある者からはこのような発言がみられなかったことを考えると、同調意識が制服の着崩しに影響していることがわかる。Aさんに関しては周りの着こなし方に疑問に感じながらも同調していた。この発言から特にAさんは、同調意識が制服の着崩しに大きく影響を与えていると考えられる。

 

 

 

第二節 ファッション意識

第一項 おしゃれに関する意識

下記の図2-1は「おしゃれをすることに興味があったか」という質問と制服の着崩し率とをクロス集計した結果を表したものである。

2-1

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2-1の結果をみると、「あてはまらない」と答えた人の中で、着崩し率の高い人は7人(22.6%)であり、「あてはまる」と答えた人の中では、着崩し率の高い人は38人(59.4%)であった。このことから、ファッションへの関心が高い人の方が着崩し率の高い傾向があることがわかる。この結果から、ファッションへの関心が高いために、制服の着崩しを行うのではないかと考えられる。

 

制服の着崩しとファッション意識との関連を検討するために、比較的に同調が弱く、ファッション意識が高いCさんEさんのインタビュー内容を分析する。以下は制服の着崩しとファッション意識に関する内容のものである。

 

C:やっぱ周りで、めっちゃリボンきれいや、みたいなことを言い合っとった。あはははは。あっ一番綺麗やん、みたいな。コツは、みたいな感じではやった、かな

 

C:で、なんかリボンが自分で作るやつやから、なんかスカーフになっとるやつなんですよ、で、自分で結ぶタイプのリボンで、時期によって小さい方が可愛いって自分の中で思っとったり、なんか大きくした方が可愛いって思っとったり、好きなものがバラバラだったから、年中こうやってなんか試行錯誤しとった、リボンの作り方を

 

E可愛く着たいですね。せっかく可愛い形しとる制服なのに、長いスカートとかじゃ合わんと思っていたから

私:制服自体は気にいっとって、自分の中でこうやって着たいなってのがあったんやよね

E:ありました

 

CさんEさんどちらも「おしゃれをすることに興味があったか」という質問に対して「はい」と答えており、「友達と服装の傾向が似ていると気になるか」という質問に対して「はい」と答ており、「周りと似たような服ではなく、自分の個性を活かせる服装がしたいと思っていたか」という質問には「思っていた」と答えている。CさんEさんは相対的に同調意識が弱い傾向にあり、服装によって個性表現をしたいと考えていることからファッションに関する意識も高い。Cさんは可愛くリボンを結ぶために試行錯誤していたり、Eさんは可愛い形をしている制服だから可愛く着たいと発言していたりと制服の着装することとおしゃれとを結びつける発言をしていた。よって制服の着崩しは、制服を着るときでもおしゃれをしたいというようなファッション意識によるものであるとも言える。

 

 

第二項 遊びと着崩し

以下は学校外での制服の着崩しに関するインタビュー内容である。インタビュー内容から制服で遊びに行く場合について詳細に分析する。

 

C:えー基本的に放課後になったら(ブラウスのボタンを)開けるようにしてました。

 

D:服装検査、集会もですね、あと放課後になったらスカート短くしてた

私:しとった?

D:はい、先生の見えないところをいかにうまくすり抜けて、行くか、みたいな

 

E:授業中もそんなに、けっこう着崩さずに着てて、授業終わって帰るときはもう着崩して

 

C:なんか、学校がめっちゃ田舎の学校で、家がめっちゃ近いから、街に出ない。行く時も田んぼ道通って学校行って、田んぼ道通って帰るみたいな。街から来とる子は街に帰るけど、それは。やっぱり、気にするって面では、福井市のほうに遊びに行くとか、制服で遊びに行きたいとかあるじゃないですか、遊びに行くときは、崩していっとったっていうのは気にしとったかな。

 

私:わかりました、それは学校おらんくなったから、みたいな、開放感?

E:そうですね、開放感ていうか、あんまりきちっとした格好で歩きたくないので

 

E:やっぱり、遊んどるし、誰にも怒られることはないから、いいやって

私:ああ、周りを気にしとったわけではなく

E:はい、あ、けど、そんなダサい恰好では遊びに行けんなとは思っとったです

 

C:まあ体操服で帰るしね、放課後とか部活しとる子は、ほんとは着替えんなんけど、めんどくさいから。帰宅部の子は遊びに行ったりもするから、めっちゃ、だからカーディガンとかも没収されるからみんなごまかして黒とか茶色とか、まだばれんようにやってたけど、そういう子らって放課後になるとピンクとかのカーディガン着とって、リボンも指定やけど、違うリボンしとったり、帰宅部の子は。そのまま遊びに行って、プリクラ撮ってってするから

 

Cさんは放課後になったらブラウスのボタンを開けていた、Dさんは放課後になったらスカートを短くしていた、Eさんは授業中はあまり着崩さずに制服を着ていたが、放課後になると着崩しを行っていたと答えており、共通して学校外に出たときに着崩しが激しくなったり、着崩しを行っていたりしていた。その理由として1つ目にDさんの「先生の見えないところをいかにうまくすり抜けて」また、Eさんの「誰にも怒られることはないから」という発言から学校では先生の目があり、思うように着崩しを行うことができないことがある。2つ目にEさんの「あんまりきちっとした格好で歩きたくないので」「そんなダサい恰好では遊びに行けんなとは思っとった」という発言から規定の着装方法を気に入ってはおらずダサいと感じていたことがあげられる。しかしCさんの発言に「まあ体操服で帰るしね、放課後とか部活しとる子は、ほんとは着替えんなんけど、めんどくさいから」「行く時も田んぼ道通って学校行って、田んぼ道通って帰るみたいな」とあった。学校外に出ても家に帰るだけであったり、あまり人目につかないような道を通ったりする場合は、服装にこだわらないという個人もいるようだ。Cさんは制服を着て遊びに行くときは、着崩しを行っていると発言しており、放課後に遊びに行く時間がある帰宅部の人の方が着崩しが激しいと発言していることから、学校外でも制服で遊びに行く目的のある場合に制服を着崩すといえる。また、遊びに行くときは、私服でおしゃれを楽しむように、派手な色のカーディガンを着たり、スカートを短くしたり、リボンを規定のものから変えたりしている。遊びに行く時に制服をファッションアイテムに変えているといえる。しかしAさんBさんは制服で遊びに行くときに特に学校にいるときと着崩し方が変わらないと答えていた。よってファッションへの関心の高さから遊びに行くときに制服の着崩しを行っているということができ、ファッションへの関心と制服の着崩しを結びつけることができる。

 

 

 

第三節 ファッション的同調

 第一項 ファッション的同調

ここまで制服の着崩しに同調意識とファッション意識が関係していることを明らかにしてきたが、同調意識は人の真似をしたいという意識であり、ファッション意識はおしゃれをして個性表現をしたいという意識であるため、全く逆の意味である。しかし、どちらも制服の着崩しに関係があるという結果になっている。そこで、「周りと似たような服ではなく、自分の個性を活かせる服装がしたいと思っていた」と「周りの友達と同じ制服の着崩しをしたいと思っていた」とのクロス集計を行った。下記の図3-4はその結果である。有意差は認められなかったが、興味深い結果となった。

3-1

 

3-1を見ると、「周りと似たような服ではなく自分の個性を活かせる服装がしたい」と答えた人の42.4%の人が「周りの友達と同じ着崩しをしたい」と答えている。服装において個性表現をしたいと考えているにも関わらず、制服においては周りの友達と同じ着崩しをしたいと答える人が4割近くいる。この結果から、少なくとも「制服の着崩し」と「服装で個性を表現」を別物ととらえている人がいることが読み込める。服装によって個性を出したい人が、友達と同じ着崩しをしないというわけではないということである。

 

ではなぜ制服の着崩しと個性表現を別物としてとらえている層がいるのであろうか。以下の三者の発言から分析する。

 

B:いや、でも、あーどうなんだろ。なんか(着崩しを)自分で考えたわけではないんですけど、周りとだいたい同じような感じになっちゃうんですよね。

 

E:あーなんか、個性をだすのは私服やと思ってて、制服は限界があるから、出すにも、だからやっぱり友達と同じようになるのは仕方がないから

 

C:自分はもともと被るのが嫌なんですよ。だから髪の毛緑にしとったり、ははは。基本的に被るのが嫌なんですよ。私服の場合はあんまり被りたくはないけど、制服の着崩しでやれる限度がやっぱ決まっとったから(私:あー)あと一応進学校だったから、あんまり、そこまでみんなも(着崩してない)。高校によってはパーカー下に着とったりした子もおったし、そこまですると流石にやばいから、制服に関しては同じようなものしかできんかったってのもあったし、ほんとは着たかったけど着れんかったっていうのも(私:あー)実際あると思う。

 

Bさんは私服に関しての発言はなかったが、Eさんは「個性をだすのは私服」Cさんは「私服の場合はあんまり被りたくない」と発言しており、私服と制服を区別するような発言をしている。三者とも「制服は限度がある」「同じようになってしまう」などと発言しており、皆同じ格好をしている中で個性を出すことを諦めているようだ。

 

ここまでの分析で、服装によって個性を出すことと制服の着崩しを制服は私服と違って、個性を出すにも限度があるため、個性を出すことを諦めていることがわかった。では実際に服装で個性を出したいと考える人は制服の着崩しにおいて同調意識が働くのか。CさんEさんのインタビュー内容を分析する。

 

C:やっぱ周りで、めっちゃリボンきれいや、みたいなことを言い合っとった。あはははは。あっ一番綺麗やん、みたいな。コツは、みたいな感じではやった、かな

 

私:あの子がこうやって着とるから、私もこうしたいなっていうのじゃなくて、

E:あーでもうまいなって人はいますよ。あの子みたいにできたらいいなって

私:あーなるほど、人がやっとるんを自分のなかにとりこみたいみたいな

E:うん、そう

 

CさんEさんは制服の着崩しにおいて相対的に同調が弱い傾向にあり、ファッションへの関心が高い。しかしCさんは、「周りの友達と同じ制服の着崩しをしたいと思っていたか」という質問に対して「あわせつつ、自分が好きなようにしていた。より綺麗に着崩せるか考えていた」、Eさんは「思っていた」と答えている。Cさんはリボンの結び方が上手な友達の真似をしており、Eさんは着崩しが上手な人の真似をしたいと考えており、お洒落な人の真似をするというような「ファッション的な同調」がみられた。着崩しに限度がある制服では、個性を出すことは諦めて、より可愛く着たいという思いから、他人の服装を参考にするような「ファッション的同調」が現れるのではないかと考える。

 

 

第二項 先輩の影響

制服では他人の服装を参考にするようなファッション的同調がみられると前述した。その中で最もファッション的同調がみられたのは先輩の着崩し方であった。

 

(着崩しを始めたきっかけについて)

D:=そうですね、先輩とかですね

 

A入った時の先輩とかじゃないですかね。学校の雰囲気でもないけど、この制服はこういう風に着ると可愛いんだなってみんなし始めて、周りもみたいな。

A:先輩もしてるから、私らもしていいんだみたいな。このくらいなら許されるんだなみたいな。

B:だいたいおんなじ、先輩、入った時の雰囲気とか、目につく人みたいな。こんな感じなんやなって

 

(ある時期のみに流行った着こなし方について)

C:=冬だけレッグウォーマーとかは、もうほとんど(私:みんなやっとった?)たぶんそれは、先輩とかがしてるの見て、レッグウォーマーいいんや、みたいな感じで、その影響ではじめて、一人の子が始めると、みんな、ばーって

 

(自分たちの2つ上の先輩の着崩しがひどかったと話している)

C1年生の時から、3年生の先輩を見とるから、なんか多くてそうやってやる子が。

 

AさんBさんは、学校に入学したときに先輩の制服の着こなし方が目に入り、それを真似していることがわかる。 Dさんは部活の先輩を見て制服の着崩しを行ったと語っており、身近な年上の人の影響を受けている。Cさんは自分たちが1年生の時の3年生の先輩の着崩し度が高かったから、自分たちも着崩し度が高くなったと語っている。制服を着崩したいと思った時に、同じ制服を着ている先輩が最も参考にしやすいと考えられる。

また、Aさんの「このくらいなら許されるんや」Cさんの「レッグウォーマーいいんや」という発言から、制服の着崩しが規則違反であっても、同じ学校の先輩がやっているのであれば真似をして着崩しを行なうこともわかる。

 

 

 

第四節 規則・管理意識

学校の規則や学校教師らによる管理と制服の着崩しとの関係について分析する。

第一項 規則に対する意識

下記の図4-1は「学校の規則を守りたいと思っていましたか」と制服の着崩し率とのクロス集計結果である。

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結果をみると、学校の規則を「必ず守るべきと思っていた」と答えた人の中で、着崩し率の低い人は86.7%で、着崩し率の高い人は13.3%であった。よって、学校の規則を「必ず守るべきだと思っていた」と答えた人は、制服の着崩し率が低いことがわかる。一方で、制服の着崩し率が高い人は、校則を「必ず守るべきだと思っていた」という項目を除いて、ほぼ着崩し率の低い人と同じ割合である。

さらに「制服に関する校則は必要だと感じていましたか」という質問と制服の着崩し率とでクロス集計をした結果、制服に関する校則は「必要であると感じていた」「ある程度の校則は必要だと感じていた」と答えた人が、制服の着崩し率が低いという結果にはならなかった。

「制服に関する校則は必要だと感じましたか」という質問の単純集計をとると、「必要であると感じていた」「ある程度の校則は必要だと感じていた」と答えていた人は全体の7~8割であった。図4-1と比較すると、学校制服に関する校則を必要としていても、必ずしも守っているわけではないという結果となった。

 

では学校規則に関してどのように考えているのか、質問紙調査の結果とインタビューイの発言とを照らし合わせて分析する。

以下は規則に関する内容の、追加で行ったインタビュー結果である。Dさんの発言はすべて掲載すると長くなりすぎるため、発言内容を省略しまとめてある。

 

私:わかりました。じゃあ校則とかのルールに関してどう考えていますか。なんか必要だと思いますか。けっきょく校則があっても、100%守れるわけじゃないやん

A:一応あるべきものだとは思います

B:なんか体裁・・・

A:そうそう

B:まあ地域の人たちの体裁的にもあったほうがいいとは思いますけど

 

Aさんは規則について「あるべきものだ」と発言しており、Bさんも「あったほうがいい」と発言している。AさんBさん共に制服は規則通り着用しているわけではないが規則は必要だと答えている。

 

Dさんは規則は大事だと答えており、学校が荒れるといった混沌状態を避けるためだと語っていた。しかし、学校規則で制服着装方法の規定があっても、規定の着方がダサいため制服の着崩しを行うと答えていた。自分の中で必要なものと必要でない規則を分けており、言われてすぐ直せるもの(スカート丈の調整、ブラウスの第一ボタンなど)は守らないこともあったが、言われてすぐ直せないもの(ピアス、髪染など)は守ると答えていた。

学校の秩序を保つために規則は必要ではあるが、必ずしもすべての規則を必要としておらず、このあたりまでならいいだろうという自分たちの解釈があるようだ。先程も述べた、校則に対する意識が高く、制服を着崩さない人を除いて、規則を必要とするような規範意識はあっても制服の着崩しを行なうことがわかる。

 

 

第二項 教師による管理

以下のインタビュー内容は部活動の顧問の先生や部活動の先輩等に制服の着方について注意を受けていたという内容のものである。これらの発言から、教師らによる指導と制服の着崩しとの関係について分析する。

(着崩しは授業中や放課後を問わず、同じようにしていたかと尋ている)

 B:あーそうですね、部活の時は、ちゃんと(スカート)丈は長めにしてました。

 

 B:んーそうですね、部活やってた頃はまだ、短い中でも長めだったんですけど、部活辞めたとたんはけっこう、もう(短く折っていた)

 

 B:一時期ちょっと上の位のほうにいたことがあって、部活の中で、その時に、ちょっと短いんじゃないの、見本になるようにしなさいよ、とは言われたことがありますけど、(私:先生に?)とか、先輩とかにも。

 

 C:あと、部活めっちゃ一生懸命やっとった子とかは(着崩しを)してない、厳しい部活のとことか、顧問の先生が怖いから、してなかった。やっぱ帰宅部の子が一番やっとった。

 

 Bさんの発言からは部活動の時とそれ以外の時で、スカートの丈の長さが違っていたことがわかる。この理由として部活の先生や先輩から「ちょっと短いんじゃないの、見本になるようにしなさいよ」などと注意を受けていたことが関係していることがわかる。また、Cさんも「顧問の先生が怖いから」着崩しをしていない子がいたと発言しており、学校生活において関わることが多い部活動の顧問の先生の影響があり、管理されていたことがわかる。しかし、Bさんは部活をやめた途端にスカートを折ったと語っており、部活の顧問による指導が制服の着崩しを抑制する根本的な要因とは言えない。

 

また、すべてのインタビューイが服装検査や集会などで先生に注意をされて一旦は服装を正すが、すぐに元に戻してしまうと答えていた。ここから服装を正す理由として先生に注意をされると面倒だから・直さないと怒られるからといったような、規則遵守とは異なった理由がうかがえる。服装指導もすぐに着崩した状態に戻してしまうことから、制服の着崩しを抑制する根本的な要因とは言えない。

以上のことから、学校の規則や先生による指導は着崩しの抑制要因としての働きが薄く、制服に関する規則があっても着崩しを行ない、先生による指導を受けても継続しないことがわかった。