第一章 問題関心

近年、町おこしの1として、漫画やアニメ、キャラクターなどのコンテンツを利用した取り組みが全国的にみられる。アニメの舞台になった場所を実際に訪れる「聖地巡礼」(1)や、いわゆる「萌えキャラ」を用いた「萌えおこし」と呼ばれる手法が存在し、全国でも多くの市町村や団体がイベントの開催やグッズ販売などの積極的な活動を行っている。実際に富山県内においても、キャラクターを用いた様々な取り組みが行われているほか、県内でアニメの舞台となった場所には多くのアニメファンが訪れている。

それでは、こうした取り組みには一体どういったことが期待されているのだろうか。どのような手段によって周囲の関心を引いているのか、そして、周囲から認められるために必要なものは何なのか。こうした疑問を念頭に置き、いかなるプロセスでコンテンツが制作され、町おこしへと繋げられているのかを活動の運営側が持つ意識と照らし合わせながら調査していきたい。

本研究では、富山県高岡市「あみたん娘」と南砺市「恋旅〜True Tours Nanto〜」を事例として取り上げる。その際、これらが「コンテンツを用いた町おこし」という枠の中でどのような位置づけになるのか確認する必要がある。そこで、岐阜県大垣市で開催されている「全国萌えキャラフェスティバル」への参加団体を比較の対象とすることで、この2つの事例の位置づけを明らかにしていこうと思う。

なお、アニメやキャラクターを用いた取り組みには「萌えおこし」という名称がよく使われているが、中にはその呼び方が適切ではない事例も存在する。従って、「萌えおこし」という言葉による活動の捉え方についても合わせて考えていきたい。