〈巻末資料〉

 

2000年代少女漫画 あらすじ

 

・『愛してるぜベイベ★★』槙ようこ,2002年〜2005(りぼん/集英社)

女ったらしでプレイボーイな高校生、片倉結平の家に、従妹である5歳の坂下ゆずゆがやって来る。旦那を亡くして蒸発した、ゆずゆの母である叔母の都が見つかるまで、ゆずゆは片倉家で一緒に暮らすことになった。姉、片倉鈴子の一声で、結平はゆずゆの保護者役をすることになる。毎日お弁当を作ったり幼稚園の送り迎えをしたりと、それまでの女遊びをやめてゆずゆの世話に一生懸命に。ゆずゆはお母さんがいなくて寂しいけれど、結平がそばにいてくれることに安心しているが。結平とゆずゆ、心の間にいろいろな問題が起きる。その問題を乗り越えて成長していく物語。

いじめ・虐待・親子確執・親の蒸発などといった、家庭・社会問題を題材にした作品。その中に恋愛が入り混じったホーム&ラブドラマで、主にゆずゆと心にある苦悩を結平が解決していく。この漫画は、主人公結平がゆずゆの世話をするという「子育て」と、クラスメイトである徳永心との「恋愛」を主軸に描いた作品。 

 

・『オトメン(乙男)』菅野文,2006年〜2013(別冊花とゆめ/白泉社)

柔道・空手の段を持ち、剣道で全国制覇を成し遂げている剣道部主将・正宗飛鳥は「男の中の男」と女子はもちろん男子からも一目置かれる存在である。しかし、実は少女漫画や可愛らしい小物などを好み、料理や裁縫も完璧にこなすという乙女的趣味・思考・特技を持つ「オトメン(乙男)」という秘密を持っていた。乙女らしさを隠して男らしさを追求する飛鳥だが、ある時転校生の都塚りょうに一目惚れしてしまう。

りょうは警官である父の薫陶を受け武術全般が得意だが、家事全般は壊滅的な腕前。作者曰く「少女マンガにおける、物凄く鈍感で天然なかっこいい男の子」を想定したキャラクターである。自分の乙女らしさを隠していた飛鳥だったが、飛鳥をモデルに秘かに少女漫画を描く橘充太やりょうとの出会いをきっかけに、本来の自分を取り戻しつつある。

基本的には一話完結で、飛鳥の「女らしさ」りょうの「男らしさ」を主軸になかなか進展しない二人の関係が描かれている作品。

 

・『失恋ショコラティエ』水城せとな,2008年〜(月刊フラワーズ/小学館)

製菓学校に通う爽太は一つ上のサエコと交際中。4年前の一目惚れから想い続け、去年のクリスマス直前にようやく初キス。バレンタインデーの前日、爽太はチョコレートが大好きなサエコのために精魂込めて作ったチョコレートをプレゼントする。しかし、サエコは受け取ってはくれなかった。そもそも、付き合っていると思っていたのは爽太だけだったのだ。傷心の爽太は、なけなしの金と少々の荷物だけを持って、フランスの有名パティスリー・ボネールを訪れ、雇ってほしいと頼み込む。

5年後、ボネールの日本上陸が決まり、心躍るサエコの目に映ったのは、ボネール日本進出店を支える若きシェフとして紹介される爽太だった。爽太はただサエコを振り向かせたい一心で修業に励んできた。しかし、サエコは結婚が決まっていた。間もなく爽太は独立し、ショコラ専門店「ショコラヴィ」を開店させる。

              

・『俺物語!!』アルコ(原作:河原和音)2011年〜(別冊マーガレット/集英社)

性格は真っ直ぐで不器用、同性からはモテるが、女子からは嫌われやすい、いかつい剛田猛男。これまでに好きになった女子は皆、親友であるイケメンの砂川誠を好きになった。                   

ある日猛男は、電車で痴漢に遭っていた女子高生・大和凜子を助ける。後日、お礼に訪れた凜子の様子から、「彼女もまた砂川を好きになったのだ」と直感した猛男は、砂川と大和の恋を成就させようと張り切るが、大和が好きになったのは、自分を助けてくれた頼もしい猛男だった。
 

・『ラストゲーム』天乃忍,2011年〜(LaLa/白泉社)

勉強もスポーツもできて顔もよく、そのうえ家もお金持ち、という超完璧少年でオレ様キャラを貫く主人公・柳。しかしそんな柳の前に、転校生・九条が現れる。柳は九条に勉強・運動で惨敗し、プライドが傷つく。柳は人生初の挫折を経験し、九条への雪辱を誓う。同じ中学、高校に進学する中、柳は「惚れた方が負け」という言葉を耳にし、九条を自分に惚れさせて、優位に立った上で彼女を振る、という計画を思いつく。しかし、柳の中での九条へのライバル心はいつしか恋心に変化していく。大学生になった2人の関係は...?