第四章 調査概要
今回調査対象に選定したのは、2011年2月14日に提起された「夫婦別姓訴訟」を支援する団体である「別姓訴訟を支える会」、その富山における活動主体の「別姓訴訟を支える会・富山」である。
この団体が支援する「選択的夫婦別姓訴訟」とは、夫婦別姓を望む5人の原告が起こしたもので、原告のうち二人が東京都荒川区に、夫婦それぞれの生来の姓で提出した婚姻届が不受理処分を受けたことに対して、その処分の取り消しと、原告全員に対して国家賠償法1条1項(2)に基づき国から賠償金を支払うよう求めたものである。
現在は「婚姻届不受理処分取消請求事件」と「国家賠償請求事件」に分かれて審理がされており、前者は最高裁まで持ち込まれたものの原告側の訴えが行政事件として扱われるものではないとして棄却されている。後者については原告によって民法750条に関する国会議員の立法の不作為が問われており、東京地裁では棄却され、東京高裁に控訴中である。(2014年3月28日、東京高裁により控訴が棄却された。原告側はこれを不服として上告する予定。)
国家賠償請求事件において焦点となっている「立法の不作為」とは、民法750条が憲法13条、24条に違反していることや女性差別撤廃条約やそれに関する勧告によって改正すべきとされているにもかかわらず国家が改正しないことが、「国の公権力を行使する公務員が他人を傷つけた場合に国家が賠償する責を持つ」と定めた国家賠償法に違反しているという主張である。
今回の調査では、訴訟の原告や会の代表を含む6人の男女(塚本氏、G〜L氏)に会全体を対象としたインタビューを行い、その後塚本氏、G、H、I、J、M、N、O氏に対してそれぞれ個別にインタビューを行った。
表2 「別姓訴訟を支える会・富山」の概要
設立年月日 |
2011年1月10日 |
会員数 |
150人 |
活動内容 |
・夫婦別姓訴訟を支援する。 ・月一回程度のミーティングを行う。 ・ワークショップの開催 ・街頭アンケートなどの世論調査 |
調査日時:2013年12月
2014年6〜7月
2014年11〜12月
インタビュイー:塚本協子氏、G〜O氏