第三章 調査概要

 

第一節 フィールドワーク

 2011年の4月から201212月にかけて、アレッセ高岡(高岡外国人の子どものことばと学力を考える会)というボランティアグループに参加することで、外国人児童の抱える悩みや問題について調査した。具体的には、アレッセ高岡の行う週2回の外国人児童たちへの学習支援(主に基本5教科を講師の用意したテキストや学校の教科書等を用いて指導するといった内容)に講師たちのサポートという形で参加するといった内容である。

 

アレッセ高岡(高岡外国人の子どものことばと学力を考える会)について

 @概要

【主な活動内容】

高岡市に住む外国人の中高生に対して行う、講師やボランティアの学生による週2回の学習支援。内容は学校の試験対策や受験対策、宿題の手伝いなどである。講師ごとに自分で教材を用意して指導にあたっている。また、生徒間や生徒の保護者、講師との親睦を深めるためのイベントも精力的に行っている。

 

【目的】

外国にルーツを持つ生徒たちが、ハンディを乗り越えて志望校に進学できるよう支援することによって、将来的に彼らがよりよい職を得て、社会に貢献し、日本と自国との懸け橋となるよう育成すること。

 

【設立】

2010年4月

 

【学習時間】

毎週2回(火曜日17:00-19:00 土曜日9:00-11:00/13:00-15:00

 

【学習場所】

ウイングウイング高岡(火曜)・高岡市ふれあい福祉センター(土曜)

 

【運営】

資金調達:授業料(月額3000円)、助成金及び教材寄付で運営。

使い道:@講師への謝礼と交通費A教材費Bコピー代など

 

【構成(201311月の時点)】

・講師12人。最初は日伯交流友の会(2)のメンバーのみであった。以降は主に口コミによって募集を行っている。退職教員、現役教員、元私塾経営者、進学塾講師などによって構成されている。

・2012年12月の時点で生徒18人(ブラジル人8人、中国人7人、ペルー人1人、パキスタン人2人)。中学生がほとんどだが、高校生も在籍している。アレッセが設立した当初は生徒は4人のみであった。その4人は、代表の青木由香氏が中学校で相談員をしており、そこで指導をしていた生徒である。生徒の募集については初年度のみチラシによる募集を行った。以降は主に口コミによって募集を行っている。

 

【支援協力団体】

・日伯交流友の会・公益財団法人とやま国際交流センター・国際ソロプチミスト高岡

・弘済会(教職員組合)・富山県南米協会の海外移住者家族会

・高岡志貴野ライオンズクラブ

 

A設立の経緯

 代表者の青木由香氏が参加していた日伯交流友の会というボランティアグループの活動の中からアレッセ高岡として20104月に新たに設立した。

 →アレッセ高岡の講師の中には日伯交流友の会のメンバーも数人含まれる。

 

【アレッセ高岡代表者青木由香氏】

生まれと育ちは高岡市。横浜国立大学大学院で日本語教育を学び、修士号を取得した。続いて、大阪大学大学院においてブラジル日系社会に触れる。その後、2年間JICAの日系社会青年ボランティアとしてブラジルに渡り、その中で日本とブラジルを行き来している子どもたちの現状を目の当たりにし、そのような子どもたちを放っておけないという考えを持った。青木氏はこのような問題を持つ子どもたちを救いたいという気持ちから日本語の相談員になったが、それだけでは足りないと考え、アレッセ高岡を設立することを決意した。


 

第二節 インタビュー調査

 

フィールドワークに参加する中で出会った子どもたちの中から10名ほどに、日本で生活する上での悩みや、日本語の能力について詳しく聞くインタビューを行った。とくに、日本語能力については、@日本語をどのように学んだかA学校の授業にはどのように対応したかB今、自分の日本語能力に不安はあるかといった点を重点的に聞き出した。

 

インタビューを行ったのは以下の生徒たちである。

 

中国人生徒:AE

ブラジル人生徒:IK

その他の国の生徒:T,U

 

インタビューに参加してくれた生徒、また、インタビューは行えなかったが、フィールドワークの中で交流することのできた生徒たちについて以下の章で詳しく述べる。