第一章 問題関心

 

 最近の若者は「キャラ」と呼ばれる振る舞い方の幅をもっており、それを状況に合わせて使い分けることでコミュニケーションをスムーズにしている。この「キャラ」は状況や相手によって使い分けられるが、若者たちは「キャラ」を意識的に使い分けているのだろうか。以下の引用は1988年に発行された『セブンティーン』の記事の引用である。

 

友達ひとりに、何もかも期待しすぎるから、つらくなると思うんだ。私は、恋愛の話ならA子、勉強のことならB子、テニスの話はC子・・・・・・って、わざとしてるわけじゃないけど、自然にわけてるみたいなの。これが、いいことかどうかわかんないけど・・・・・・楽は楽だなぁ。(『セブンティーン』1988918日号)

 

 この「いいことかどうかわかんないけど・・・・・・楽は楽だなぁ。」という感覚は何なのか。また、現代の若者は「キャラ」だけでなく、友人も「自然に」使い分けているのだろうか。本調査では、インタビュー調査を通して「キャラ」や友人の使い分けがおこるような友人関係について、大学生を事例として考えていきたい。