3章 調査概要

1節 調査対象、会話の収録方法

 今回の調査では、接触のしやすさから調査対象者は大学生とし、友人同士の3人グループの雑談を収録した。友人同士としたのは、初対面よりも盛り上がりやすいと考えたためである。また、会話参加者数を3人と限定したのは、4人以上だと同時に複数の会話がなされる可能性があるためである。調査は個室を使用し、図のように、カメラから見てテーブル左側に2人、右側に1人が座り、向かい合う形で撮影を行った。使用した機材はビデオカメラとICレコーダーである。

ビデオカメラ

 

参加者

 

 

参加者

 

 

参加者

 

 

ICレコーダー

 
 

テキスト ボックス: 図3-1 調査環境

 

 

 

 

会話の収録は以下の3つまたは4つの段階を踏む。

1. 基礎データとなる雑談の収録

 最初に、話題カードの中から1枚の話題カードを話題参加者に選択してもらう。話題カードには、「最近の関心事」や「ニュース」、「サークル」、「アルバイト」など、話題として使えそうなテーマが記されている。これらはあくまで話題提供のために用意したものであるため、会話進行中にカードから話題がそれたり、最初からテーマと関係のない話題から始めたりしてもよいこととする。時間は20分とし、ビデオカメラ、ICレコーダーの両方を使用する。

 

2. 個別質問

 雑談終了後、会話参加者11人に「会話のどの部分、どの話題が盛り上がったと感じたか」「盛り上がったと感じた理由」を質問する。各々が盛り上がりの要素はどのようなものだと考えているかを探る。ここでは音声のみ収録した。

 

3. ディスカッション

 会話参加者で1の雑談中どの部分、どの話題が盛り上がったかを、映像を見ながらディスカッションしてもらう。1と同様、ビデオカメラ、ICレコーダーを使用する。2の個別質問の回答とここで出た回答を参考に、盛り上がりの部分を特定する。また盛り上がったと考える根拠をどのように説明するのかにも注目する。

 

4. 追加個別質問

 2の時点で明確に回答できなかった会話参加者に、ディスカッションを行った後、2と同じ質問をする。他者を納得させる盛り上がりの根拠はどのようなものだったかを探る。