第二章 愛Bリーグ(B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会)
第一節 B級ご当地グルメの定義
B級グルメとは安価で日常的に食される贅沢でない庶民的な飲食物(出典:Wikipedia)のことを指す。愛BリーグではB級ご当地グルメと定義し、B級グルメの名にご当地グルメという要素を足して、 地元の食生活に根ざしながらその土地の食文化 として認識されている料理として単なるB級グルメと区別している。また、愛BリーグではB級ご当地グルメをでは以下のように定義している。
・食べたら旨いと絶対の自信をもっておすすめできるものであること。
・地元の人が日常的に食べているもの、又は日常的に食べることができるものであること。
・食材ではなく、料理として提供されるものであること。
・特定の一飲食店のメニューではなく、その街に行けば複数の店で提供していたり、一般家庭で食べることができるものであること。
(「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」HPにより)
なお、愛Bリーグでは「B級ご当地グルメ」という名前で呼びかけているが、一般的には「B級グルメ」という呼び名が世間に浸透している。
第二節 組織概要
第一項 愛Bリーグとは
愛Bリーグとは第1回B-1グランプリに出展した団体が中心となって2006年7月に設立した一般社団法人である。地域で愛されているB級グルメのブランド化を図る団体が、B-1グランプリなどの事業への参加や会員同士のコミュニケーションを通じてB級グルメのブランド化を図り、地域活性化に貢献することが目的である。なお、その目的を達成するために以下のような事業を行なっている。
(1)B級ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」の開催
(2)上記(1)に係るイベントの開催
(3)上記(1)に係る商品の開発・販売
(4)B級ご当地グルメでまちおこし団体の支援
(5)その他、本会の目的達成に必要な事業を行う。
(愛BリーグHPより)
愛Bリーグの本部は静岡県富士宮市にあり、代表理事は富士宮やきそば学会会長の渡邉英彦氏が務めている。正式名称はB級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会である。2013年11月の時点で愛Bリーグ本部加盟団体:64団体、支部加盟団体:13団体の計77団体が加盟している。
また、2007年11月に開かれた臨時総会で「愛Bリーグ憲章」を制定し、愛Bリーグの加盟会員は愛Bリーグ憲章を遵守して活動を行っている。「図2−1」
図2−1 愛Bリーグ憲章
1. 私たちは、様々な問題を抱える地域社会を少しでも元気にするために、遊び心をもって活動します。
2. 私たちは、地元の人々に愛されているB級ご当地グルメを通じて、地域全体の魅力を楽しくわかりやすく伝えていきます。売るのは料理ではなく地域です。
3. 私たちは、営利を求めません。無私無償のボランティア精神を貫きます。
4. 私たちは、他地域の仲間の活動を尊重しあい、助け合って活動します。
5. 私たちの活動の原点は、地域や食を愛する心です。美味しい物を食べると自然に笑顔になるように、みんなが笑顔になるような活動を行います。
(愛BリーグHPより)
第二項 B-1グランプリの開催
2006 年に青森県八戸市で「第1回B-1 グランプリ」が開催された。正式名称は「ご当地グルメでまちおこしの祭典!B-1グランプリ」。料理を通じて「地域をPRする」ことで、一人でも多くのお客さんに現地に足を運んでもらおうという、地域活性化を目的とした「まちおこしイベント」である。あくまでもまちおこしの成果を発表する場ということで、B-1グランプリに出店することを敢えて“出展”と表記している。イベントでは、「1人1 膳2 票」のルールのもと、来場者は料理を食べ比べる際に出される割り箸をとっておき、一番おいしかった料理に投票する。料理の味を含めたまちおこし活動の日本一を競う内容となっている。
また、この大会を機に「B 級グルメ」というネームが全国に広がるきっかけとなったとも言える。B級グルメを使ったまちおこしのイベントということからマスコミからの注目度も高く、大会の回数を重ねるにつれ、参加団体数、来場者数は増加傾向にある。第7回北九州大会では出展64団体が出店し、2日間で来場者約58万人を動員する大規模なイベントとなった。またグランプリ開催地、グランプリで入賞した料理の地域での経済効果は短期間で数十億円にものぼると言われている。これまでの大会記録を以下の「表2−1」にまとめた。
表2−1 B-1グランプリ大会記録
|
日程 |
出店団体 |
来場者 |
ゴールドグランプリ |
第1回八戸大会 |
2006.2.18-19 |
10 |
1万7000人 |
富士宮やきそば学会(静岡県富士宮市) |
第2回富士宮大会 |
2007.11.1-2 |
21 |
25万人 |
富士宮やきそば学会(静岡県富士宮市) |
第3回久留米大会 |
2008.11.1-2 |
24 |
20万3000人 |
厚木シロコロ・ホルモン探検隊(神奈川県厚木市) |
第4回横手大会 |
2009.9.19-20 |
26 |
26万7000人 |
横手やきそば暖簾会(秋田県横手市) |
第5回厚木大会 |
2010.9.18-19 |
46 |
43万5000人 |
みなさまの縁をとりもつ隊(山梨県甲府市) |
第6回姫路大会 |
2011.11.12-13 |
63 |
51万5000人 |
ひるぜん焼そば好いとん会(岡山県真庭市) |
第7回北九州大会 |
2012.10.20-21 |
63 |
61万人 |
八戸せんべい汁研究所(青森県八戸市) |
第8回豊川大会 |
2013.11.9-10 |
64 |
58万1000人 |
浪江焼麺太国(福島県双葉郡浪江町) |
(B級ご当地グルメの祭典B-1 グランプリ公式HPをもとに作成。)
第三項 愛Bリーグ会員について
愛Bリーグの会員資格には本部加盟会員と支部加盟会員の2種類がある。本部加盟会員と支部加盟会員の違いはB-1グランプリへの出展ができるかできないかである。B-1グランプリに出展するためには、本部加盟会員である必要がある。加盟会員は年会費2万円を納めなければならない。
愛Bリーグに入会するには理事会による入会審査が1年に2回行われる。入会には次の条件を満たす必要がある。
入会資格
・「食のまちおこしを通じて、地域を元気にしようという志を持ち、一定の活動実績がある団体であること」
愛BリーグのHPによると、ここでいう団体は法人格の有無は問わない。また、企業、営利団体、個人が営利を目的として入会することはできず、営利を目的とした飲食店舗組合等には厳しい審査があると表記されている。この審査を通り理事会の承認を受けて、愛Bリーグの支部会員として登録される。愛Bリーグには北海道・東北支部、関東支部、東海・北陸支部、近畿・中国・四国支部、九州支部の5つの支部があり、その地域の該当する支部に加盟する。
入会までの流れ
1.審査資料提出
2.理事会による入会審査(1年に2回)
3.理事会による承認
4.入会手続
5.準会員(支部加盟会員)として入会
本部加盟会員になるためには1年に2回の理事会の昇格審査があり、理事会の承認を得なければならない。支部からの昇格推薦を受けた団体が昇格審査を受けられる。昇格審査では日常的にまちおこしの活動をして実績を積んでいるか、最低一度でもB-1グランプリ本大会を視察しているかなどの確認がなされる。支部加盟してからB-1 グランプリに出展するまでおよそ1年〜2年以上かかる。「図2−2」
図2−2 愛Bリーグ本部加盟会員と支部加盟会員
・本部加盟会員(正会員)… B-1グランプリへの出展ができる
・支部加盟会員(準会員)… B-1グランプリへの出展ができない
(愛BリーグHPより)
正会員(本部加盟会員)昇格 = B-1グランプリ出展資格獲得への流れ
1.支部からの昇格推薦
2.理事会による昇格審査(1年に2回)
3.理事会による承認
4.正会員(本部加盟会員)昇格 = B-1グランプリ出展資格獲得
第三節 ブランド化としてのツール
愛Bリーグの活動は、言ってみれば地元に当たり前に存在していた料理を「地域名を付けてブランド化する」というものである。もともと地元にある料理をその地域性を表す魅力的な資源として注目し、料理をブランド化することによって、B級グルメは集客力のある地域資源となる。その結果として、B級グルメでまちおこしのブームが生まれ、B-1グランプリのような大規模なイベントを成功させている。
愛Bリーグは今や全国的なネットワークを持つ大きな組織である。B級グルメのブランド化を目指しまちおこしをしている団体にとって、愛Bリーグへの加盟は、「B-1グランプリ」のイベントに出店でき、「B-1グランプリ公認商品」という肩書きが得られる等のメリットがあると考えられる。愛Bリーグに加盟することはまちおこしの経済効果が期待できる手段の1つであると考えられる。