第4章 調査の概要
調査はネット調査とインタビュー調査の二つを行った。
1、ネット調査
ネット調査では、まず初音ミクとアイドルマスターの公式サイトへアクセスし、基本的な情報を収集した。続いてファンサイトへのアクセスを試みたが、ミクに関してはニコニコミュニティしか発見できず、アイドルマスターのファンサイトは放置状態のゲームの攻略情報サイトだったため、有用な情報は得られなかった。しかし後述するHaRuKarnival’13(以下ハルカニ)というイベントの公式Blogを見つけることができたため、アイドルマスターのファンの動向はこれを中心として追うこととする。
そして、ツイッター上のツイートを閲覧し、バーチャルアイドルのファンの営みを調べた。それとハルカニに関するツイートを追い、運営アカウントが活動していた3月〜9月の間のツイート数・リツイート数を計測することでイベントの規模を調べた。
2、インタビュー
インタビューでは、一人の初音ミクのファンにインタビューを行った。この人はミクのファンであるがアイドルマスターの知識もあり、二次創作の中心となる動画投稿サイトにも詳しかった。そして、バーチャルアイドルという概念に関しても、自分なりの考えを持っていた。インタビューにはVOCALOID・初音ミクに関する質問を用意し、その内容は以下の通りである。
・ネットでのコンテンツの利用
動画共有サイトでの作品の視聴の有無、作品検索の方法、好きなジャンル、派生キャラの受容、ファンサイトへのアクセスの有無
・ 全体的なコンテンツとの関わり商品の購入経験、二次創作への意欲、イベント(公式・非公式問わず)への参加経験
・他のファンについて
ファンとそのファンとの交流の有無、共感共有の度合い
・現実のアイドルと比べて
現実のアイドルとの共通点・違い
インタビューの結果、インタビュイーの発言にはいろいろ興味深い点があった。
一つ目は、ミクの性格や設定は、作品を作るPごとに違うということである。インタビュイーもデッドボールP(以下デP)というPの作品を観ていたことがある。この作品は続き物であり、そのせいか曲の中に出てくるミクの性格・設定はストーリー上での変化はあれど、基本的には繋がったものなのだという。インタビュイーはその作品群内で統一されたデP独自のミクの性格・設定が好きなのであり、逆に言えばそうしたバックグラウンドの無いVOCALOIDシリーズの他のキャラには思い入れも愛着もわかないのだと述べている。
さらにインタビュイーは、ミクには設定などの絶対的なものがないから、ミクは各々の好きなように妄想することができると言い、ミクだと判別できる最低限の要素以外は交換可能であるとした。最低限の要素とは緑色のツインテールと肩にある「01」という番号であり、そうしたもの以外は違っていても違和感は無いと述べている。さらにそれにかかる形で性格やオリジナルというものが無いことにも言及していた。