1章      問題関心

 

 近年、少年非行の増加・凶悪化がマス・メディアの報道で指摘されている。実際に少年非行がメディアで報道されることも増えており、内閣府が行った世論調査の結果を見てみても少年非行が増加・凶悪化していると感じている人が多くいるということがわかる。内閣府が行った2010年の世論調査では、「かなり増えている」と「ある程度増えている」の合計は75.6%で、多くの人が少年非行の増加を感じていることがわかる。しかし、警察白書などの統計データを見てみると少年非行が増加・凶悪化しているようには見えず、1998年における少年の検挙人員が157385人だったのに対し2010年では85846人とむしろ減少している。では世論とデータの差はどのようにして生じたのだろうか。私は少年非行がメディアで報道されることが世論調査の結果に影響を与えているのではないかと考えている。

 そこでメディア報道が世論に与える影響を、内閣府の世論調査の結果を踏まえたうえで世論調査前の新聞記事から探っていきたい。