第一章 問題関心

近年の在日外国人の定住化傾向や国際結婚の増加によって、日本で出産・子育てをする外国人住民が増えていくと予測されている(武田,2005)。出産や子育てに向き合う外国人の母親にとって、文化や言葉の違いは新たな悩みや不安を生み出す要因になるはずである。現在に至るまで、外国人の子育てに関する研究は武田(2005)のようにいくつか調査が行われてきたが、その調査地は集住地域に限られている場合が多い。また、定住外国人に対する支援も都市部や集住地域が先行している状況である。富山県の場合、外国人登録者数は全国平均を下回る一方で、高岡市を中心として外国人の割合の高い地域も存在している。

本論文では、富山県に在住する5人の外国人の親へのインタビュー調査を行い、外国人の子育ての様子に着目した。この調査をもとに、外国人の親たちがどのように子育てと向き合い、外国人特有のものとしてどのような課題を抱えているのか明らかにしていきたい。また、在日外国人の定住化が進む中で、必要とされる母親や子供への支援の在り方についても考えていきたい。