第一章   問題関心

 

食物アレルギーは、日常において深くかかわる「食」について大きな負担を抱えることとなる病気である。「食」以外の面においても、小麦粉粘土や食物由来の酵素などにより反応を起こすこともありえる。また、食物アレルギーは重度の患者になれば、アナフィラキシーで死亡することも有りうる。

そのために食物アレルギー児の場合、小学校や幼稚園・保育園などでの集団生活の場面で個別の対応を頼むことになる。よって、食物アレルギーの病状や除去品目、症状などを整理して伝える必要がある。子どもたちが健やかに集団生活を送る上でアレルゲン(抗原)となる食品などを適切に除去してもらうためには、保護者が働きかけなければならない。食物アレルギー児の保護者たちが子どもたちが集団生活を送る上で、働きかける場合にどのような負担や不安を抱えているのかについて明らかにしたい。

本研究では、調査対象として石川県の食物アレルギー児の親の会である『ももたろう倶楽部』の会員の方にインタビューをさせていただいた。また、過去2年分(2008年春号〜2010年夏号)までの機関紙に寄稿された記事を元に、調査・分析を行った。このほかに、ももたろう倶楽部と共同でアンケート調査を行った。