第3章 調査

 

第1節           調査概要

 

富山県無料配布取りやめは行政・団体・事業者が三位一体となって行われている活動である。それぞれの見解を伺い、レジ袋無料配布取りやめの概要を明らかにするため、その3者を対象に調査を行った。

行政は平成20年5月21日に富山県環境政策課のYさんに対してインタビュー調査を行った。団体側には平成20710日に高岡市市民協働課(たかおかマイバッグ運動を進める市民の会)の課長Hさんにインタビューを行った。事業者側にはより多くの意見を聞きたかったためにスーパーマーケット各社に質問メールを送るという形をとった。

 

第2節 レジ袋削減推進協議会

 

この節ではレジ袋無料配布取りやめについての経緯を富山県環境政策課のYさんの話を元に説明していきたいと思う。

従来はマイバッグ運動を事業者、消費者団体、行政がそれぞれの立場でレジ袋削減を推進していたが、マイバッグ持参率は10%から20%と低迷し、運動の伸び悩みを抱えていた。そこで各主体が連携協力して効果の高い取り組みを実行することを必要として平成19年6月7日にレジ袋削減推進協議会を設立した。ここからレジ袋無料配布取り止めが始まった。

富山県一斉レジ袋無料配布取りやめは平成2041日から県内全域で一斉にスタートした。これは全国で初の取り組みだ。当初はスーパーマーケット10社・1協同組合(123店舗)消費者団体6店舗からスタートしたが、5月にはスーパーマーケット、クリーニング店208店舗でとなり10月以降にはドラッグストア5社も加わった。レジ袋の価格はスーパーマーケット、ドラッグストアは15円でクリーニング店は110円と取り決め、レジ袋の収益金等は地域の環境保全活動など(事業者ごとに判断)に活用している。事業者、消費者団体、行政の三者で協定書を締結し、各主体の役割分担と連携協力を確認した。


レジ袋削減推進協議会のメンバーは表1のとおりだ。

 

表1レジ袋削減推進協議会

行政

富山県、市町村

団体

富山県消費者協会 富山県婦人会 富山県生活学校連絡協議会 富山県環境保健衛生連合会 富山県PTA連合会 富山県母親クラブ連合会 JA富山県女性組織協議会 富山県漁業協同組合女性部連合会 たかおかマイバッグ運動を進める市民の会 ()とやま環境財団

事業者

潟Aーク 潟Aイル アルビス梶@潟Iレンジマート 潟Lョーエイ 旧ワ福商会    且O喜有 三幸梶@潟Tンコー本店  潟Vューコーポレーション 叶V生マート 潟qラキストア 挙。田食品店 鰍ワるまん 椛蜊繪ョショップ 叶V鮮市場 潟oロー ユニー梶@イオン梶@潟pルフェ 潟Tンショウ 潟宴Cク 兜ス和堂 潟}イカル JAライフ富山 汲アしだスーパー むらい食品梶@スーパーまるい スーパーほしば 汲ウいき求@向ストア 新湊商業開発梶@汲ルりた商店 潟с塔Oドライ虚x山第一ドライクリーニング 泣zープクリーニング富山潟Tニードライプロダクト潟zームドライ富山

鰹H山クリーニング 潟hラッグフジイ 潟Nスリのアオキ 且ヲ野薬局 中部薬品

去R本信薬店 

 

 

 

3節 富山県の環境保全活動

 

富山県では「とやまエコライフ・アクト10宣言」という取り組みを行っている。

年々、地球の温暖化が進み、30℃を超える真夏日の増加、大雨・台風の増加など、温暖化による影響は様々なところに現れています。このため、国では、温暖化防止に向けた国民運動「チーム・マイナス6%」が展開されており、富山県でもこの運動に呼応した取組みを行ってきました。のたび、県民の皆さんによる自主的な温暖化対策を推進するため「チーム・マイナス6%」の6つの取組みと、富山県が行ってきた「とやまオリジナル」の4つの取組みを合わせた10のアクションを県民の皆さんに呼びかける、『とやまエコライフ・アクト10宣言』を実施します。今すぐ、『とやまエコライフ・アクト10宣言』をして、できることから取組みを始めましょう!」(富山県のホームページ 2008)とやまエコライフアクト10宣言の内容は表2のとおりである。

 

表2 とやまエコライフアクト10宣言

ACT

冷房の設定温度は28℃、暖房時の室温は20℃にしよう

ACT

水道の蛇口はこまめにしめよう

ACT

ふんわりアクセル「eスタート」(エコドライブ)をしよう

ACT

エコ製品を選んで買おう

ACT

無駄なレジ袋は断ろう

ACT

電化製品はコンセントからこまめに抜こう

ACT

マイカーに乗らずに出かけよう(月に2回はマイカー利用を控え、公共交通機関を利用しましょう)

ACT

自然とふれあい、緑を守り育てよう(自然観察や庭・ベランダでのガーデニング、森づくりへの参加などにより、温暖化を防ぐ緑に親しみましょう)

ACT

資源回収等の地域の環境保全活動に参加しよう(新聞紙、空缶等の資源回収や美化活動に参加し、みんなの力で美しい地域環境を作りましょう)

ACT10

とやまの旬の食材を食べよう(地元でとれた旬の食材をおいしく食べて、食材の輸送やハウス栽培等に必要なエネルギーの削減を図りましょう)

 

 

 

 ACT1〜ACT6は環境省地球環境局地球温暖化対策課国民生活対策室による「チーム・マイナス6%からの抜粋で、ACT5には「無駄なレジ袋を断ろう」とあり、ここからレジ袋無料配布取り止めが行われたようだ。ACT7〜ACT10は富山県独自の取り組みで、車社会独特の項目が見受けられる。

 

4節 たかおかマイバッグ運動を進める市民の会

 

たかおかマイバッグ運動を進める市民の会とは平成12年に消費者団体、事業者、行政が三位一体となり設立した市民団体だ。レジ袋削減推進協議会と設立の経緯がほぼ一緒であるが、こちらのほうが先だと思われる。特に強力なのは消費者団体で、行政は主にきっかけ作りをうながした。事業者はやはり客商売なのでなかなか乗ってこなかったという。

活動内容は毎月8日をマイバッグキャンペーン、1月にはマイバッグデーとして高岡のスーパーなどでの啓発活動を行っている。キャンペーンに参加されるは会員の方で、ティッシュなどを配っている。また割り箸の回収も行っている。

 たかおかマイバッグ運度を進める市民の会はレジ袋削減推進協議会をコンパクトにしたような印象だが、レジ袋削減推進協議会では団体に属している。インタビューに答えてくださったHさんは市民協同課の方であり、マイバッグ運動を進める市民の会では行政の立場であるが、マイバッグ運動を進める市民の会は団体等に属しているので団体としての意見も伺えた。

 

第5節      スーパーマーケット各社

 

行政・団体の次は事業者側の意見を伺おうと平成20910日にスーパーマーケットArH店でS店長にインタビューを行った。またより幅広い意見を伺おうと平成20112日にスーパーマーケット各社に質問メールを送った。Or社、Os社、Sa社、Si社から回答を頂いた。質問内容は次のとおりだ。

 

1、富山県レジ袋削減推進協議会にどうして加盟したのか。

2、無料配布取りやめの際に不安はあったか。あるとしたらどんなことか。

3、実際に無料配布取りやめをしてよかったこと。

4、お客様から苦情や万引きはないか。

5、レジはスムーズになったか。

 

質問に答えてくださったスーパーマーケットはすべて地元の企業で会社の概要は次の表3から表6のとおりだ。

 

表3 Or社会社概要

資本金

5,000万円

従業員数

170名(男子50名、女子120名)

営業所

八尾町 婦中町 2店舗

売上高

42億円

 

表4 Os社会社概要

設立

197312

資本金

2,000万円

売上高

355億円 (平成196月期 鮮魚テナント売上含む)

従業員数

1,200名 (パート含む)

店舗数

21店舗(富山市13店舗、滑川市1店舗、魚津市3店舗、朝日町1店舗、

      高岡市1店舗、射水市1店舗、砺波市1店舗)

 


 

表5 Si社会社概要

設立年月

平成10年3月

資本金

2,000万円

加盟店舗数

15店舗(富山市、高岡市、立山町、氷見市、砺波市)

 

 

表6 Sa社会社概要

設立

昭和45 4

資本金

8,700万円

従業員数

430名(パート等280名を含む)

事業所

野村本店、氷見南店、ひみ中央店、京田店、昭和通店、南星町店、砺波中央店

主要取引先

Ar

 

Os社、Sa社はボランタス協同組合という企業組合に所属している。ボランタス協同組合というのはボランタス(自分の意思で自発的に行う社会参加活動)の名のもとに、加盟企業がそれぞれの独立性を保持したまま相互補完の関係による協業活動を通して緊密な関係を築き、地域社会と食文化への貢献を願いとし、食品の安全と安心、そして豊かで健康な食文化を提供することを志す食品ボランタリーグループらしい。つまり環境及び食育についての企業同士で推進していくことを目的とした団体のようだ。そのボランタス協同組合では「Yesmottainaiプロジェクト」を行っている。それは環境への対策でレジ袋の削減を目的としたプロジェクトである。ボランタス協同組合では、お客様と共に地球環境を考え、加盟企業全店一丸となって、さらなる環境問題への取り組みに挑戦している。特に環境資源対策として、レジ袋減量化推進、エコバッグの普及等を積極的に推進している。