1章 問題関心

 

日本は大量生産・大量消費によって大きく発展したが、その一方で廃棄物は増え続け、これらがもたらす環境への影響は大きな社会問題となっている。平成12年環境省の調査で容器包装廃棄物が容積比で約62%(湿重量比で約24%)と高い割合を占めていることがわかった。環境省では容器包装廃棄物の排出を抑制する3R運動(リデュース、リユース、リサイクル)を推進する為、平成19年試行された改正容器包装リサイクル法に基づき地方自治体ごとにレジ袋の排出抑制に力を入れている。

その背景もあり、富山県では平成20年4月から一斉にスーパーマーケットと一部クリーニング店でレジ袋の無料配布が取りやめられた。県内全域で無料配布を取りやめたのは全国初での取り組みであり、行政、消費者団体、事業者の三者が協定したことで成功した。

当初レジ袋無料配布取りやめについて、果たして意味があるのか疑問に思った。なぜなら私はレジ袋より安いゴミ袋を大量に購入していたからだ。自分と同じ行動をとる人が多ければ石油資源の節約にもならなければ、ごみも減らないと思った。

私と同じようにレジ袋を有料化について疑問視する言説が数多く存在する。例えば「レジ袋有料化はレジ袋削減効果はあるが、必ずしも容器包装廃棄物の削減につながるとは言い切れない。」(末崎 2006)や「レジ袋とエコバッグは石油の成分が違い、エコバッグの方が貴重な石油資源を消費している。」(武田 2008)などレジ袋削減の効果について曖昧な部分も多い。それなのにもかかわらずなぜ富山県はレジ袋無料配布取りやめを行ったのか。またどうして富山県内で一斉に無料配布を取りやめることができたかを明らかにしていきたいと思う。