第三章 富山県の取り組み

 

 この章では、富山県で行われている取り組みを二章でふれた静岡県での事例と対照させていきたい。

 まず、平成1851日時点で富山県の公立学校に通う外国人生徒数は小学校305人、中学校97人、高等学校25人となっている。これらの生徒たちに必要に応じて日本語指導がなされている。このような児童生徒に対応するための日本語指導教員は、県内に9人が配置されている(平成1851日時点)。さらに、静岡県同様、富山県でも外国人相談員の派遣を行っている。県内で外国人相談員の派遣が開始されたのは、平成10年度からである。また、外国籍の児童生徒が多い市町村では、市町村独自に非常勤講師を学校に派遣して対応している。富山県から派遣している外国人相談員、非常勤講師は平成18年度は19人で、延べ52校に配置された。また、本年度から高岡市では、外国人児童が多く在籍している小学校2校を外国籍児童の日本語指導の拠点校とし、講師が常駐する体制を整えた。

第四章でも触れるが、相談員、講師の主な仕事は、日本語指導が必要な児童生徒を対象とした取り出し授業による日本語指導、原学級にて付き添い、授業の分からないところを通訳したり、説明を加えたりするTeam Teaching(T.T)による授業添付がある。そのほかに、子どもたちの母語を理解している相談員、講師は、学校に来校した父兄の通訳、父兄向けのお知らせのプリントの翻訳などの作業を必要に応じて行っている。

以上が、現在富山県で行われている外国籍の児童生徒に対する指導である。先に示した静岡県の取り組みと内容はあまり大差ないように思われるが、外国人相談員の派遣が開始された年を比較すると、静岡県が平成4年度なのに対し、富山県では平成10年である事から、富山県の取り組みは後発的なものであると考えられる。