はじめに

 

 「できちゃった結婚」。ここ最近この言葉を耳にすることが多いのではないだろうか。「でき婚」「できちゃった婚」さらには「できちゃったベビー」という言葉も派生し、ほんの少し前までは存在もしなかったこの言葉がいまやごく日常的に使われている。連日の芸能人の「できちゃった結婚」報道にはじまり、同名のドラマが放送されたりと、社会の「できちゃった結婚」という現象に対する関心は非常に大きくなってきている。

「晩婚化」「未婚化」などと言われて久しい近年の結婚事情の中で、「できちゃった結婚」という現象はどのような意味を持っているのだろう。本論文では「できちゃった結婚」という比較的新しい社会現象に焦点を当て、実際に「できちゃった結婚」を選択したカップルにインタビュー調査をするという調査方法で、その現象が社会的にどのような意味を持っているのかということを論じたものだ。

1章では、厚生労働省の人口動態統計を用い数字的な変化を述べた上で、「できちゃった結婚」という言葉の出現、社会の関心、社会の反応などに焦点を当てている。第2章ではインタビュー調査という方法を用い、実際に「できちゃった結婚」を選んだカップルたちの意識に迫っている。それをうけて、第3章では現代社会における「できちゃった結婚」の持つ意味を分析、考察するという構成になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第1章       「できちゃった結婚」の現状

 

1節 厚生労働省の人口動態統計

 

ここ数年の間に、「できちゃった結婚」という現象に非常に注目が集まってきている。芸能人をはじめ、周りの友人、親戚、近所の人など、周囲を探せば誰かしら「できちゃった結婚」をした人がいるのではないだろうか。その「できちゃった結婚」の増加を証拠付け、確固たる社会現象として世間に知らしめた統計が、2003315日に厚生労働省が発表した人口動態統計である。この統計は、第1子を出産した年月から夫婦が同居を始めた年月を差し引いた期間(結婚期間)が、妊娠期間(10ヶ月)よりも短いケースを算出したものである。

(表1) 母の年齢階級別にみた結婚期間が妊娠期間より短い出生数及び嫡出第1子に占める出生構成割合 -昭和55〜平成12年-

 

結婚期間が妊娠期間より短い出生数 (千人)

嫡出第1子に占める割合(%)

総数

15-19歳

20-24

25-29

30-34

35歳-

総数

15-19歳

20-24

25-29

30-34

35歳-

昭和55年

83

6

45

26

5

1

12.6

47.4

20.1

7.8

7.1

6.6

60  

103

9

56

30

6

2

17.3

61.5

31.2

9.8

8.3

8.8

平成2  

109

10

57

33

8

2

21.0

67.0

41.5

12.4

9.3

9.4

7  

125

10

65

38

10

3

22.5

73.9

47.0

14.2

9.2

10.0

8  

125

9

63

40

10

3

22.2

74.6

47.3

14.5

8.9

9.6

9  

126

10

62

41

11

3

22.6

77.0

48.7

15.0

9.1

9.2

10  

136

11

65

45

12

3

23.9

78.3

52.3

16.6

9.3

9.7

11  

141

11

65

48

14

3

25.0

79.8

55.1

17.9

10.2

10.1

12  

150

12

67

52

15

4

26.3

81.7

58.3

19.6

10.9

10.3

:構成割合は、結婚期間不詳を除いた嫡出第1子出生数に対する数値である。

(表1)から1980年の第1子出生数のうち、結婚期間が妊娠期間より短かったのは全体の12.6%にあたる83000人。その後、1990年は21%の109000人で、2000年には263%の15万人となり、つまり4人に1人が「できちゃった結婚」で、20年の間に約2倍に増えたことが分かる。また、第1子を出産した母親を年齢階級別に見ると、結婚期間が妊娠期間より短かったのは、1519歳では1980年は47.4%だったのが、2000年には81.7%と著しく増加し、10代の母親の8割が「できちゃった結婚」であるといえる。2024歳も201%から58.3%、2529歳でも7.8%から19.6%に上昇している。3034歳、35歳以上の割合もわずかだが上昇している。(表1)

(図1) 第1子出生までの結婚期間別にみた出生構成割合 −昭和50・60・平成7・12年−

第1子出生までの結婚期間別にみた出生構成割合

注:

嫡出第1子についての数値である。結婚期間不詳を除いた総数に対する構成割合である。

女性全体の第1子出生までの結婚期間別の割合を見ると(図1)、1975年は9ヶ月目から急増し10ヶ月をピークに減少する、いわゆる「ハネムーンベビー」型であった。しかし、除々に形状は変化し、1995年は6ヶ月と10ヶ月の山が同じ割合になっている。そして2000年には3ヶ月目から急増して6ヶ月がピークとなり、いわゆる「できちゃった婚ベビー」型となっている。

このように、ここ20年の間に「できちゃった結婚」は倍増し、10代の母親については8割が「できちゃった結婚」であるという数字がはっきりと証明され、厚生労働省が発表した翌日には、こぞってメディアに取り上げられ話題を呼んだ。

 

 

 

 

 

 

2 「できちゃった結婚」 という言葉の出現

 

近年注目を浴びている「できちゃった結婚」だが、そもそも「できちゃった結婚」 という言葉はいつ頃から現在のように一般的に使われるようになったのだろうか。今まで数々の結婚に関する造語が生まれてきたように思える。その中で「できちゃった結婚」という言葉はいつ頃生まれ、どのような意味であると定義されているのかと私は疑問に思った。そこで、私は自由国民社の『現代用語の基礎知識』の1970年から2004年までの中から結婚に関する造語を取り出してみた。

 

『現代用語の基礎知識』自由国民社

 

1973 シリーズ結婚

   「結婚はこれまで2人が死ぬまで一生続くものだと考えられていたが、最近での離婚の増加、再婚数の急増から、結婚を一生のうち何度も繰り返す人がでてきた。結婚、離婚、結婚・・の形態をいう。」

1980 紙なし結婚 

「結婚しても婚姻届を出さない結婚で、デンマークやスウェーデンでおこなわれる婚姻形態。したがって無登録婚、事実婚、同棲といった概念に近い。彼らが婚姻届を出さないのは、婚姻のような個人の問題に国家が干渉すべきではないという徹底した自由主義、個人主義のため。」

1982 オープンマリッジ 

「アメリカの社会学者オニール夫妻が1972年に提唱した結婚形態。夫婦が所有欲、独占欲、嫉妬心に妨げられず、自由に愛人を作り、しかも夫婦は愛し合っていくという結婚の形態。この愛人はサテライト(衛星)・パートナーという。」

1987 未完成婚 

「結婚しても、性行為時にペニスを膣に挿入できない状態。」 

1988 老婚 

「近年独身の高齢者が異性を求めることを行肯定するムードがでてきた。」

   非婚

   「非婚という言葉は以前から少し使われていたが、1987年に57人の女性のインタビューをまとめた『非婚時代』が出てから一般的になった。海老坂武の『シングルライフ』のシングルとはまた違う意味を含む。」

   コミューターマリッジ 

   「通勤婚。要するに週末通い婚。アメリカの女性進出とキャリア重視からうまれた結婚形態で、すでに70万組といわれる。日本の単身赴任とは違う。お互いの自己実現を目指す。」

1990 家庭、家族の崩壊

   「1980年頃からマスコミでいわれるようになった。一方で、別居結婚別姓結婚、未婚の母、シングルなどを「新しい家族」としてとらえたり、「個人の誕生」だとする肯定的な意見もある。」

1991 非婚時代

   「女性は進んで非婚、男性は余儀なく非婚。」

3D結婚

「女性が結婚にこだわる三要素。打算、妥協、惰性。」

1993       事実婚

「世間で言う夫婦とまったく変わりない生活を送っているのだが、結婚届を役所に提出しないで、つまり名字を変えないでそれぞれの姓を名乗っている夫婦。かつての『同棲』もこういえば現代風である。」

家庭の多様化を容認する方向。「内縁」「同棲」という言葉がいつの間にか「事実婚」という「法律婚」と対比される言葉として定着。

国際結婚

1980年以降日本人の国際結婚が急増。円高のおかげで日本人男性がアジア女性にとって魅力的な相手になったこと、国内の男性の結婚難に原因があると考えられる。」

下方婚

「女性が年下の男性と結婚すること。」

輪廻婚

「であって1度はわかれるがまた再会して結ばれるカップル。生まれ変わったかのように結婚観が変わることもいう。」

3C結婚

「キャリア、クラス、クレバーの最強女性の結婚。雅子様タイプのキャリアウーマンが脚光をあびる時代。」

1997 ジミ婚

「芸能人の影響。結婚披露宴をあげなかった20代カップルは32・6%で、ハデ婚時代の30代カップルの3.4倍。人をごちゃごちゃよばなくてもよいハワイ婚の人気に。」

パソ婚カップル

「パソコン通信がきっかけになってゴールインした男女。」

1998 オリジナル婚

「レストランなどで簡素な式をするジミ婚の一種。自分らしさをアピールする若者が増えている。」

1999 ビビビッ婚

「松田聖子が年下の歯科医師と「ビビビっと感じた」として突然の再婚。評論家山田美保子は相手ではなく、自分の意志で婚期を選ぶ『決婚(結婚)』と評した。」

2001 ギャルママ

10代の母親。15歳から19歳までで未婚のまま出産した女性が、25年間で3倍に倍増。安室奈美恵の電撃結婚に憧れて若年結婚するコギャルだが、「まだ遊びたいから」とすぐに若葉離婚したり、進学などの道をたたれ、その後の子育てもうあくいかないというケースも多い。雑誌『happie』にギャルママサークル紹介ページも登場。」

2002 でき婚

「妊娠させたためやむをえずする結婚」

半世紀婚・シルバー婚 

「市川猿之助(61)と藤間紫(78)の結婚。公私とも長年のパートナーとして知られていた2人。」

2003 でき婚・できちゃった婚

2002年は若者用語の分野でしか扱われていなかったが、2003年にはジェンダー、家族の分野でも扱われるようになった。)

2000年のできちゃった婚は全体の26.3で、4人に1人20年間で20倍に倍増10代後半では8割が、20代前半は6割近くが妊娠後結婚。(厚生省)」

2004       でき婚・できちゃった婚

   ショットガンブライド(shotgun bride

   「おなかの大きい花嫁のこと。娘の親に銃をつきつけられて無理やりにさせられる結婚。〔つまりでき(ちゃった)婚〕をショットガンマリッジという。」

 

このようにしてみると、数多くの結婚に関する造語が生まれては消え、中には定着して一般的な言葉になったものもたくさんあることが分かる。その中でも現在最も注目すべき旬な言葉は「できちゃった結婚」であろう。この言葉自体は『現代用語の基礎知識』の初めて載る2002年以前から世間では言われていたのだが、正式に雑誌に載ったのは2002年であった。前述したように、2002年は若者用語の分野でしか取り扱われてなかったのだが、翌年からは、ジェンダー、家族の分野でも取り扱われたことから、最初は単なる流行の言葉程度だったのかもしれないが、今では現代社会における結婚のあり方を語る上で無視できない言葉となったことが分かる。

他国の場合見てみると、アメリカにも「できちゃった結婚」という意味の新語があり、「shotgun weddingmarriagebride〕」という。この言葉は前述したように、『現代用語の基礎知識2004』の巻末の「最新カタカナ・外来語/略語辞典」にも初めて載せられた。また、『フェイバリット英和辞典』によれば、「妊娠したためあわててする結婚」と定義されていて(1996『フェイバリット英和辞典』東京書籍)、『現代用語の基礎知識』の「妊娠させたためやむをえずする結婚」とほぼ同じ意味であった。

また、集英社の『imidas』、朝日新聞社の『知恵蔵』にも目を通すと、ほぼ『現代用語の基礎知識』と同じ時期から「できちゃった結婚」という言葉が登場してきている。

 

『imidas』集英社

 

2003        結婚期間が妊娠期間より短い出生

「ここ20年間で、いわゆる「できちゃった結婚」の子どもが増加している。人口動態統計特殊報告によると・・(以下、グラフなども用い、統計について詳しく述べている。」(「家庭生活」の分野に掲載)

2004        結婚期間が妊娠期間より短い出生

(「家庭生活」の分野に掲載)

 

『知恵蔵』朝日新聞社

 

2002     できちゃった結婚

「「子どもができた」ためにする結婚を指し、言葉自体は以前からあった。ただ、いままでは、どこかに「後ろめたさ」や「割り切れなさ」があったのだが、近年では、安室奈美恵、梅宮アンナ、木村拓哉&工藤静香のように、堂々と宣言して「できちゃった結婚」するカップルが増えている。ちなみに人口問題研究所の調査では、90年代の結婚カップルの1割強が「できちゃった結婚」だそうだ。また、2001年夏には、竹野内豊と広末涼子の月9ドラマ『できちゃった結婚』(フジテレビ系列)も放送された。」(「若者、流行」の中の「風俗、ヒット商品」の分野に掲載)

2003     できちゃった婚

「「子どもができちゃった」ためにする結婚。後ろめたさや恥ずかしさがつきまとう言葉だったが、木村拓哉と工藤静香のように堂々と発表するタレントが出てくるなど、最近ではマイナスのイメージが薄れつつある。」(別冊付録『ことばの知恵袋 とっさの日本語便利帳』の「社会で役立つ編」の中の「タウンことば」に掲載)

できちゃった婚ベビー

「近年の結婚年齢の急上昇と共に、結婚前に妊娠する、いわゆる「できちゃった婚」が急増している。・・(以下、統計の数字について述べ、ハネムーンベビーが多かった時代との著しい違いについて述べている。)」(「Further Information」という、用語に関する朝日新聞の重要記事、人物データ、参考文献などを収録したコーナーに掲載)

2004     できちゃった婚/できちゃったベビー

(「若者用語」に加え、「家庭、家族」「人口」の分野に掲載されるようになった)

 

『imidas』は人口動態統計の数字を用い、「できちゃった結婚」を「結婚期間が妊娠期間より短い出生」と称し、「家庭、家族」の問題として詳しく説明している。

また、『知恵蔵』は、2002年には「若者、流行」の中の「風俗、ヒット商品」という分野で、「できちゃった結婚」という言葉は以前からあったが、今までは「後ろめたさ」や「割り切れなさ」があったと述べている。しかし、近年、芸能人が堂々と「できちゃった結婚」したり、『できちゃった結婚』という同名のドラマが放送されたことについて触れ、社会の変化を示唆している。また、翌年の別札付録『ことばの知恵袋 とっさの日本語便利帳』の「社会で役立つ編」では、「タウンことば」として「できちゃった婚」が掲載されている。「社会で役立つ編」という分野に載せられているということから、「できちゃった結婚」という言葉が非常に社会に浸透してきているのがわかる。また、朝日新聞の重要記事を収録した「Further Information」に取り扱われたり、更に翌年には「家庭、家族」「人口」の分野でも掲載されるなど、「できちゃった結婚」という言葉の隆盛には目を見張るものがある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第3節   「できちゃった結婚」への社会の関心

 

3−1 芸能人の結婚報道に見られる「できちゃった結婚」への関心

 

2001年7月2日からフジテレビ系で『できちゃった結婚』というトレンディードラマが放送されたが、その主演の広末涼子が先日(20031213日)本当に自身の「できちゃった結婚」を発表して周囲を驚かせた。芸能人の結婚会見としては近年異例の200人以上の報道陣が詰めかけた。このように有名芸能人の結婚はメディアにより大々的に取り上げられ、社会の人々に波紋を広げる。

『現代用語の基礎知識』にもその年に特に話題を呼んだ芸能人の結婚が取り上げられるのだが、「できちゃった結婚」といえば必ず挙げられるのは安室奈美恵と木村拓哉ではないだろうか。『現代用語の基礎知識』にも次のように取り上げられている。

 

1998 安室奈美恵結婚

コギャルの教祖安室奈美恵が15歳年上のTRFのダンサーSAMと電撃入籍、妊娠3ヶ月。

2001 木村拓哉結婚

好感度NO、1のキムタクが工藤静香と近々入籍および彼女が妊娠4ヶ月の報道。

(また、この2人のほかにも「できちゃった結婚」として取り上げられたのが黒沢優と松岡充(2002)、狂言師和泉元彌と羽野晶紀(2002)。)

 

ここで気になるのは芸能人の結婚の報道のされ方だ。前述したように『現代用語の基礎知識』も必ず「妊娠何ヶ月」ということに触れている。芸能人の結婚の報道ではなぜか「妊娠したかどうか」ということにかなりの重点が置かれている。参考として産経スポーツのホームページにおける「できちゃった結婚」に関する記事の見出しを取り上げてみたいと思う。

 

2002

【1.3】ソフィアの松岡充と黒澤優が結婚 黒澤明監督の孫 

【1.30】MAXミーナのお相手は「さんま似」 入籍&妊娠会見

【2.6】羽野晶紀5月にママ、“できちゃった婚”でした

【2.7】和泉元彌「できちゃった結婚じゃない」“弁明”会見

【2.21】マイク真木が17歳年下の元歌手と再々婚 オメデタも発覚!

【4.12globeのマーク・パンサーが美人OLとできちゃった婚

【4.22“できちゃった婚”の山崎邦正に女児誕生

【5.13】佐伯日菜子がサッカー日本代表の奥と入籍&オメデタ

【5.17】一色紗英がハーフの元モデルと結婚&オメデタ

【7.10】ココリコの遠藤と千秋が結婚 事務所はできちゃった婚を否定

【7.18】マーク・パンサーにWオメデタ 入籍&長女誕生

【7.25】元COCOの大野幹代、事務所社長と結婚 妊娠3ヶ月

【8.22】元フジアナの有賀さんはやっぱり“できちゃった婚”

【9.22】セイン・カミュ、あゆ似の日本人女性と入籍 妊娠5ヶ月

1127】サムエル伊藤大介、鈴里真帆とできちゃった入籍

1230】ガレッジセールのゴリが結婚「デキちゃってません」

2003

1.4】扇国交相“できちゃった結婚”だった事を告白

4.26】ともさかりえ、オメデタ否定 直筆FAXで入籍報告

5.7】窪塚がパパに 10月誕生、名前は「愛流」ちゃん

6.10】ロンブーの田村亮、できちゃった結婚を報告

8.25】上原さくらが入籍発表、妊娠2ヶ月のできちゃった婚

1213】広末涼子は15日に「結婚報告」いたします

 

(産経スポーツ「結婚バックナンバー」)

 

以上の見出しは、2002年から2003年の産経スポーツの「結婚バックナンバー」から「できちゃった結婚」に関わるものだけ取り上げたものだが、太字で示したように芸能人の結婚報道では妊娠の有無に焦点が当てられる。結婚記者会見などでは報道陣はこぞって妊娠の有無を問いただしたり、芸能人本人が妊娠を否定したりする。特にその顕著な例として次の3人の芸能人の報道について触れてみる。

 

例1)「ガレッジセール」のゴリ(本名、照屋年之)(200212月、入籍)

彼は報道各社に直筆のFAXで入籍を知らせた後、次のように続けている。「なぜ、年末の忙しい時に籍を入れたのかというと、デキちゃったからではありません」と、できちゃった結婚を否定し「彼女と初めて会った日が2年前の今日だったからです、本当に…。だから、この日にしようと2人で決めました。」と結婚の経緯を説明している。追伸の「本当にまだ子供はデキてません。」も含め、合計3度も「デキちゃった婚」でないことを強調している。

「ゴリ、“できちゃってないけど婚”」(スポーツニッポン「スポニチアネックス」)という見出しが付けられたりと、本人も報道する側も「できちゃった結婚」かどうかに対して非常にこだわっている。

 

例2)山崎邦正(2001年9月、結婚会見)

彼は9月2日放送のテレビ番組で結婚を発表した。その日の見出しは「山崎邦正が“できちゃった結婚”」(スポーツニッポン「スポニチアネックス」)だったが、4日に開かれた結婚報告会見で彼は「避妊しませんでした。できちゃったというか、『つくろうぜ婚』です。ずっと避妊してきたけど、本能が子供を作れ、という気にさせた。彼女も『避妊して』と言わなかったし…」と「できちゃった結婚」を否定した。その日の見出しは「山崎邦正“つくろうぜ婚報告”」(スポーツニッポン「スポニチアネックス」)や「ナンパできちゃった結婚で山崎邦正が会見 〜本能が作れ、と…〜」(fuji entertainment news「ZAKZAK」)と書かれている。一般的には「言い訳」と報道されたが、一時、この「つくろうぜ婚」という言葉が話題を呼んだりした。

 

例3)和泉元彌(2002年2月、妊娠発表)

200112月の婚約会見でも2002年1月の挙式後の会見でも、ふっくらした妻の羽野晶紀に報道陣から「おめでたは?」の問いがひっきりなしに飛んだが、和泉は「それはないです。」「太ったんですよ。」と妊娠を否定し続けた。

しかし、1ヶ月後の会見妊娠7ヶ月であることを報告した。「なぜ事実を隠したのか」という問いに対し、「まず第一に彼女の体調を考えたからです。」と語り、「食べて太った」と話したことについては「普通の妊婦が1ヶ月に1キロ太るところを、彼女はペースが早く太った。食べて太ったのは嘘じゃない。」と説明し、開き直りとして報道された。「できちゃった婚では?」という見方については「昨年の始めに結婚は決めていました。できちゃった婚ではありません。」と繰り返し否定し、この会見は終始「できちゃった婚」の釈明で終わった。

彼がここまで「できちゃった結婚」を否定し続けるのは、以前から羽野晶紀との結婚に猛反対をし、しきたりに非常に厳しい母の目があるからとされている。彼は560年の伝統を持つ和泉流狂言方を引き継ぐ和泉流宗家20代目である。しきたりを重んじるこのような伝統ある家庭では「できちゃった結婚」は最も許し難い行為なのであろう。しかし、結婚に猛反対していた母も妊娠という決定的な事実を前にしては認めざるを得なかった。

 

このように和泉元彌の会見での報道陣の「本当にできちゃった結婚ではないのか?」という執拗にこだわる様子や、「元フジアナの有賀さんはやっぱり“できちゃった婚”?」「globeのマーク・パンサーが美人OLとできちゃった婚」(産経スポーツ「結婚バックナンバー」)などの記事の見出しに見られるように、報道側は「結婚」の報道となると「妊娠したか否か」つまり「できちゃった結婚かどうか」ということに執拗にこだわっているのが分かる。しかし、それは視聴者も気になることだからであるからこそで、例えばニュースのタイトルというのはできるだけ視聴者側の興味をそそるものを選ぶ。また、時代遅れの言葉ももっての他だろう。「できちゃった結婚」に人々の興味関心が集まってきていることがよく分かる。

 

3−2 「できちゃった結婚」にに対する社会のアンビバレントな反応

 

 このように、現在「できちゃった結婚」には社会の大きな関心が向けられているのだが、一体社会はこれをどのような目で見ているのだろうか。「できちゃった結婚」を取り巻く意見は賛否両論である。「だらしない」「別に今時珍しくない」「普通」「順序が逆」など様々な意見が飛び交っているが、特にウェブサイトではストレートに人々の本音を見ることが出来る。社会の「できちゃった結婚」に対する反応のほんの一部だが、いくつかの意見をとりあげてみたい。

 

「できちゃった結婚」に賛成

 

景気の良い話

「晩婚化・少子化が進む中で非常に喜ばしい傾向。できちゃった結婚は悪い印象があるみたいけど、日本人の性欲が衰えていない訳で景気の良い話だと思います。早く結婚したい俺としてはできちゃった結婚でもいいです。逆に子供ができることで幸せになれるかも。」(田中教之「週刊レビュー」)

できちゃった結婚に憧れ

これはある学習塾の先生の体験談なのだが、中学校3年生の女子生徒がこう言ったそうだ。「うちの家は、おばあちゃんから代々できちゃった結婚をしてるねん。だから私もできちゃった結婚をしたい。」何を根拠にできちゃった結婚をしたいのかは解からないのだが、一種の憧れではないかと先生は予想している。この女子生徒は、もしこどもができてしまっても「できたものは仕方がない」と言えばいいと考えている。(tomomichi「学習塾の舞台裏で」)

「順序が逆」は古い考え

「妊娠、それから入籍して、結婚式、ハネムーンということになる。順番が逆だと眉をひそめる人は、残念ながらとても古い考えを持っていると言わざるを得ない。(省略)できちゃった結婚のほうが、夫婦の子供に対する思い入れも強いような気がする。」(「できちゃった結婚」)

 

「できちゃった結婚」に反対

 

貧乏なイメージは拭えない

「結婚→人生設計→少ない稼ぎから貯蓄→貧乏のイメージは拭えない。給料日前に使い切ってしまう生活を考えると、養うなんてとても無理です。何も考えずにいてごめんなさい。今からもっと先を見なくては。家計でもめて、笑顔が消えるようでは本末転倒ですから。」(大石誠「週刊レビュー」)

人道から外れた行為

「やっぱり私の中ではできちゃった結婚は大げさに言えば人道から外れた行為」「自分のランクが1

つ、2つ下がってしまったようで期の晴れない結婚生活がスタートしました。」(keiko「keikoのバツイチ体験談」)

自分の行動に責任を

「若気の至りだけで、結果的に生まれてきた子供たちは(その子たちにとって)本当に幸せな誕生を迎えるのだろうか。」「自分たちのしていることがどんなことか、わかっているのだろうか。」(三浦「できちゃった結婚」)

 

その他

 

逆の驚き

10代の8割ができちゃった婚と聞いてもさほど驚かない現代人の私。逆に、子供ができていないのに10代で結婚する人が2割もいることに驚いてしまった(笑)こういう統計がニュースになること自体、できちゃった婚が社会に認知されれていない証拠だろうか?私も気をつけよう。」(服部圭介「週刊レビュー」)

 

このように「できちゃった結婚」には、賛否両論の意見が飛び交っている。賛成意見としては、「それもあり」「順序は別に関係ない」「子供がいるので逆にうまくいきそう」などという意見が見られ、反対の意見としては、「若気の至りでできた子供はしあわせになれるのか」「無責任だ」という意見が多く、中には「人道に外れた行為」「自分のランクが1つ、2つ下がってしまう行為」という絶対的な反対意見も見られる。

そこで、この意見を性という角度から見てみたい。そもそも一昔前の日本では、性に関しては「臭い物に蓋」的な考えが一般的で、結婚前の妊娠どころか性を語ることさえもタブー視されていた。しかし、海外の先進国で1960年代から起こった性革命をうけて、日本でも今までの純潔教育が見直され始めた。性を直視することを日本性教育協会や、識者達が説き、性の自由、婚前交渉が一般化した。

意外かもしれないが、これまでは全国民を対称に無作為抽出法という科学的手法で「日本人の性」を明らかにした調査は1件も無かった。しかし、1999年にNHK「日本人の性」プロジェクトが初めて科学的に「日本人の性行動と性意識」に関する調査を行った。その調査によると、婚前交渉に対する日本人の意識について次のような調査結果が出ている。

 

婚前性交渉に対する意識

 

16歳〜30代世代の若年層と40代〜60代の中高年層とに分けて婚前性交渉に対する許容度

「男性の婚前性交渉に対しての許容」     「女性の婚前性交渉に対しての許容」
男性若年層  89.8%          男性若年層  87.2%
男性中高年層 59.8%          男性中高年層 46.3%
女性若年層  87.9%          女性若年層  88.4%
女性中高年層 40.1%          女性中高年層 30.8%

明らかな意識の変化
・二つの世代を比較するとそこには大きな変化が見られる。中高年層は若年層に比べると婚前性交渉  

に対する許容度は低いが、特に女性の婚前性交渉に対して否定的なのが特徴。そこには「男性はあ

る程度仕方ないが、女性については結婚までは清い体で」という日本古来の男性に甘く女性に厳し

い姿勢が見られる。
・若年性層の特徴は、男女とも87〜89%と圧倒的多数が婚前性交渉を認めていること。さらに特

徴的なことは婚前性交渉をするのが男性でも女性でも、ほぼ同じ許容度。つまり「男はともかく女

だけは」という価値観は既に崩壊している。

(NHK「日本人の性」プロジェクト「データブック日本人の性行動・性意識」,125-127

 

このように、日本人の性意識は確実に変化してきている。それに伴って、婚前交渉→妊娠→結婚という、いわゆる「できちゃった結婚」に対する日本人の意識も確実に変化している。それがよくわかる例として、3−1でも少し触れたが、2003年に起きた、扇千景の「私は元祖できちゃった婚」というカミングアウトがあげられる。彼女はテレビ番組の中で自ら、自分は「元祖・できちゃった婚」だとカミングアウトし、翌日それが各メディアで報道された。次の記事は、その一例である。

 

扇国交相できちゃった結婚だった事を告白

「扇千景国交相が夫の歌舞伎俳優、中村鴈治郎と関西テレビ系「いつでも笑みを!」(土曜前8・30)  

に生出演。今年結婚45周年を迎えるが、当時のスター同士の結婚としては珍しいできちゃった結

だったことを明かした。2人は映画「恋すがた狐御殿」(昭和31年)の共演がきっかけで同棲

し、長男の翫雀を妊娠。2年後に結婚した。扇は「当時から祇園でも一番モテていて、父も『あん

な遊び人駄目だ』と大反対でした」と昨年の祇園舞妓との密会騒動も揶揄した。」

 

(産経スポーツ「バックナンバー」)

彼女は「できちゃった結婚」について、当時は「とんでもないこと」だったと述べている。その上、「元祖」という言葉からは、できちゃった結婚が流行しているみたいだけど、その先駆けは自分だという気持ちが少なからず見え、「とんでもない」どころか、むしろ誇りのようなものさえ感じる。

世間の注目を集めたカミングアウトについては、他にも事例があり、1971年の加賀まり子の父な

し子宣言がある。「一昔前なら、私生児を産むなどとても世間の顔向けできることではなかった」と当時の記事には書かれている。また、1985年『片翼だけの天使』で作家の生島治郎が、川崎の特殊浴場で働く女性と結婚した経緯を書いてベストセラーになった。坪内逍遙も女郎と結婚したが終生こ

れを隠し、当時の記事には、「勇気とも社会の変化ともいえる」と書かれた。(自由国民社『現代用

語の基礎知識』)

このように、世間の見方が変わった今だからこそからこそ言えるカミングアウトといえるだろう。まさに扇千景のカミングアウトの場合は、「できちゃった結婚」に対する社会の寛容化を表している。「後ろめたさや恥ずかしさがつきまとう言葉だったが、木村拓哉と工藤静香のように堂々と発表するタレントが出てくるなど、最近ではマイナスのイメージが薄れつつある。」(朝日新聞社『知恵蔵』2003)とあるように、「できちゃった結婚」に対しては、賛否両論あるのだが、性の自由化、ライフコース選択の自由化などの様々な要因があり、社会全体的に寛容な方向に向かっている。

 

3−3 「できちゃった結婚」の新しい動き

 

「できちゃった結婚」サークル

 

ウェブサイトを見ていると、「できちゃった結婚同盟」「ビバ!!DEKI☆KON」「できちゃった会」「できちゃった結婚集まれ!」など、「できちゃった結婚」をした人達の交流の場となる様々なサイトが見受けられるようになった。その参加資格者は、「できちゃった結婚をした人」で、その同盟、サークルの趣旨は次のようなものだ。

 

できちゃった会

このサークルはできちゃった結婚をした人を対象に悩み相談・笑い話・お得情報・地域情報などいろんな形で交流できればと思って作りました。できちゃった結婚しちゃった人結婚はまだだけどできちゃった人大歓迎っす(^0^)お気軽に入って楽しみましょう!」

(On Net「エキサイトサークル」)

できちゃった結婚集まれ!

「できちゃった結婚っていろんなことを、いっぺんに、決めないといけないから、ストレスも、溜まりやすい!!そういうぐちとか言い合ったり、みんなで、情報交換ができたら、いいなぁって思います。あと、仕事をしている人の話も聞きたいなぁ・・。私は、出産ギリギリまで、働く予定です!」

(On Net「エキサイトサークル」)

できちゃった結婚同盟

「わたしはズバリ出来ちゃった結婚です!!と堂々と言えるわ、というアナタ。ぜひこの同盟に入ってみてはいかがでしょうか?私は結婚して子供が生まれてからデキ婚が恥ずかしいと思ったことはありません。『いまやできちゃった結婚を恥じることは無い!』ということを、たくさんの人に広めましょう。」(ギャルズタウン「できちゃった結婚同盟」)

 

「できちゃった結婚」をした者同士で気軽に交流するのが趣旨のものもあれば、中には「できちゃった結婚を恥じることは無い!」ということを広めるための同盟もある。「できちゃった結婚」をした人の中には、他人から「どうせできちゃった結婚なんでしょ。」などと批判的な目で見られたという悔しい体験をした人もいるようだ。「できちゃった結婚」に対する社会の反応が寛容になったといわれても、かつての「だらしない」というイメージが完全に抜け切ったわけではない。このような風潮の中で、「できちゃった結婚」という同じ境遇の者同士が同盟を組むようなことが起こったのではないか。

 

「できちゃった結婚」対応の挙式プランの例

 

「できちゃった結婚」は、ウェディングビジネスの業界にも変化をもたらした。地味婚、海外挙式などの流行で景気が低迷しているこの業界で、4組に1組の「できちゃった結婚」カップルは、見逃せない市場なのであろう。彼らののニーズに答えるような、新しい挙式プランを設ける式場が最近非常に増えてきている。

『現代用語の基礎知識』(1981年)によると、日本では1981年に初めてマタニティーウェディングドレスが売り出され、当時、桂由美ブライダルハウスでは10数人に1人の約1割が妊婦であった。以前からこのようなカップルに向けたサービスは一部ではあったのだが、「できちゃった結婚」が増加し、意識も寛容化してきた近年では、マタニティードレスは勿論、赤ちゃんの誕生をお祝いしたプレゼントを用意したり、新婦専用の控え室、食事を用意するなど、各式場とも様々な趣向をこらしてこの業界で生き残ろうとしている。そのほんの一例として次のプランをあげてみる。

 

お急ぎプラン 

3ヶ月以内の実現がリーズナブルに叶う!人情味あふれる温かいサポートでお洒落なパーティーを実現」浅草ビューホテル

ダブルハッピネス

「おめでた限定、50132万が95万に!」新横浜グレイスホテル

エンジェルパック 

「ダブルで幸せなふたりへ贈る行き届いたサービスと特別プラン」プラザ・アペア                                                    

マタニティープラン

「花嫁に配慮した特典がいっぱい!ダブルハッピーも安心して任せて」ホテル ラングウッド

おめでたプラン

「申し込みから3週間で挙式可能&特典も満載!」「全てがおめでたの花嫁をサポート」東京マリアージュ

with

「二重の喜びにつつまれているおふたりに」ホテルアーサー札幌

ベイビーシャワー

「ダブルおめでたを協力にサポート。不安や心配事がつきないおめでた婚をトータルにサポート。ホテルの女性スタッフが考案。」長崎プリンスホテル

たまごプラン

「おめでた&ウェディングで“だぶるはっぴい”のお二人に贈るプラン。出張打ち合わせも可能。

新婦の専用控え室用意、食事オーダーメイド。花の香りは柔らかいものを用意。」新潟ワシントンホ

テル

 

ホテルアーサー札幌の林志摩・マーケティング部長は、芸能界の結婚の形態はブライダル業界に影響すると述べている。(You Yomi Hokkaido Catch Up 21)チャペルウェディングや海外挙式、地味婚ブームもすべて、芸能界からトレンドが動き、人気芸能人の「できちゃった結婚」がそれまでの隠す傾向をオープンにして、2人の幸せを表現する手段になったという。できちゃった結婚は以前からあったのだが、隠す傾向が強かった時代は、ホテル側としてはプランにはできなったそうだ。しかし、結婚する2人が違和感なく、普通のこととして妊娠を受け止めている今、新プランを打ち出すタイミングと判断したという。当初は木村拓哉と工藤静香の娘、心美の名前をとって「cocomi」と名づけられていたが、「生まれてくる赤ちゃんも一緒に祝おう」という願いから「with」に変わった。

このようにどの式場のプランを見ても、テーマは「結婚」と「妊娠」が一度に訪れた二重に幸せな結婚をお祝しようというムードを全面に押し出している。式場側は戦略としてなのか「できちゃった結婚」を徹底的に肯定し、オープンに表現しようとしていることが分かる。また、申し込みから3週間で挙式というスピードを売りにしている式場も多く、新婦の体のサポートに尽力を尽くしたりと、「できちゃった結婚」はウェディング業界市場にも変化を与えた。

また、結婚式のスピーチも「できちゃった結婚の場合」向けのスピーチが考えられるようになる。スピーチのマニュアルには、「できちゃった婚の二人へ贈るスピーチ」という項目も増えた。しかし、その項目での注意点は「できちゃった婚は、二人の了解が無い限り、発表があるまでは触れない。」「二人の発表後には、さりげなくお祝いの気持ちを述べよう。」「できちゃった結婚であることを招待客みんなが知っているとは限らない。事前に本人に確認していても言葉選びに注意。」(Wedding Walker「結婚ジョーシキ&基礎知識」)とあるように、オープンになったとはいえ、「できちゃった結婚」を大勢の親戚、友人の前で公表することには非常に配慮が必要とされることがわかる。ダブルでおめでたいことだと肯定する反面、妊娠のお祝いはさりげなく述べること、事前に本人に確認していても言葉選びには慎重にならなければいけないということなどが、「常識」「基礎知識」としてされている点には、やはり「できちゃった結婚」に対する社会のアンビバレントな部分が垣間見える。