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Bさんのエスノグラフィー(スライド13〜16)


(スライド13)
 Bさんは昨年の5月に歩行器使用時に転倒し、顎や額を痛めてしばらく入院しました。退院後は車椅子生活でしたが、5月30日から、デイサービスの中では手引き歩行に切り替えました。そのことについてBさんとスタッフにお話を伺いました。そうすると、スタッフにおける、利用者の物語に対する関わり方の意識が見えてきました。

(スライド14)
 スタッフさんにBさんのことを聞いてみると、自分でリハビリを始めて、自分で努力しようという意思がはっきり見え、リハビリへの姿勢の変化への意識がはっきりしているような語りでした。
 旅行に歩いて参加することをモチベーションに体操に励んだ、と捉えている。実際にそのような話を聞いたわけではないが、Bさんの物語の変化に積極的に関わろうとしているような語りだと考えられます。
 また、このことについてはこれから紹介するのですが、不安定で微妙な心の状態にいる利用者だからこそ、積極的な方向へ導こうとする姿勢が見られる回答もありました。

Q、昨年秋に、地球の子の中での移動を車椅子から歩行器に戻した理由はなんでしたか。という問に対して
A,昨年5月30日のご利用から、デイの中では、手引き歩行に切り替えました。タイミングが肝心です。と回答が返ってきました。

 スタッフが、利用者の心の変化を敏感にとらえ、手引き歩行に移行するタイミングをつかもうとする意識がみられます。

(スライド15)   
これに対してBさんは、スタッフの語りよりリハビリへの意識やモチベーションについてあいまいで、意思の変化があったのかはっきりしていません。またBさんは歩行器はまだ怖く、家ではまだ車いすを使っているそうです。

(スライド16)
Bさんの気持ちはこれからどう変化するか微妙で、また車いすに戻るかもしれません。スタッフは、Bさんの心境が微妙で不安定だからこそリハビリの姿勢を積極的な方向へもっていこうとしているのではないでしょうか。
 このように利用者の物語の変化にスタッフが積極的に関わろうとする意識がみられました。
                               (五十嵐杏子)