富山大学 人文地理学研究室
について紹介します


大西先生による中心市街地の巡検
人文地理学コースは、国内外の様々な地域を訪問し、実地調査(フィールドワーク)を行うことを通じて、その地域に暮らす人々が、地域の自然・歴史・文化・社会・経済などとどのような諸関係を結んでいるのかを探求する領域です。

これが社会学であれば、人と社会との関係の量や質が問題になりますし、文化人類学なら習俗がどのように我々と異なっているのかが興味の対象になるでしょう。これに対し地理学は、それら関係の空間的側面に大きな注意を払います。

例えば、若者の間で新しいファッションが流行したとする。社会学なら、その流行がどのような社会属性をもつ人々に、どのような手段で伝達されていったのかを見ようとするでしょう。一方地理学者の場合は、その流行がどこを震源地としているか、その震源地は都市の中でどのような特徴を帯びたスポットなのか、そこに集まってくる人はどこからやってくるのか、集まってくる人にとって、流行が起きた場所は(他では得られない)どういう意味を帯びた場所なのかを考えようとします。

世の中で起こっているほとんど全ての現象は、それが流行であれ犯罪であれ、必ず地表上に何らかの面的な拡がりとなって姿を現します。人の頭の中にすら、解釈された場所イメージの形で、空間が拡がっているのです。このように、何らかの空間的な拡がりを帯びた現象であれば、何でも研究対象にできるのが地理学という学問の面白いところです。


ポニョで有名な「鞆の浦」の観光圏を、GISで算出したもの
(鈴木准教授作図)
当研究室では、フィールドワークを通じて、問題が起きている現場に飛び込み、実際の現象を肌で感じ、それを地理学的に分析し考える“地理学的想像力”を養うことをめざしています。時に泊まりがけで行われる実習科目が、皆さんにその機会を提供します。

また近年は、地理情報システム(
GIS: Geographic Information System)を用いて、各種統計データや地図情報を空間解析するテクニックを身につけることにも力を入れています。GISは近年、コンサルタントや自治体などで急速にその需要が拡大している空間解析ツールです。こうしたツールを駆使する力をマスターしておくことは、あなたの大きな武器になるでしょう。


卒業論文構想発表会のようす(2007年)
地域のあり方を考えるためには、どん欲に欧米の最新の研究動向、隣接諸科学の技法、思考法を取り入れていくことも必要です。当コースでは、日本語と英語の2つの文献講読の演習を用意してこれに応えます。

さらには、発表演習などを通じて
「知的に考え、それを論理的にまとめる力」、「仮説を実証するための、分析テクニック」の両方を習得できるよう、あなたをサポートします。

以上のように当研究室では、地理学の実践に必要な技能をバランスよく身につけていただけるよう、豊富なカリキュラムや機材を揃えて皆さんをお待ちしています。