はしがき

 私が初めて自分のカメラを持ったのは中学生の頃で、鉄道を撮りたいと思ったのがきっかけでした。その後高校生の時に必修クラブで写真を選び、一眼レフも買ってもらって、現像引伸しも一通り体験し、その面白さにはまってしまいました。

 大学では鉄道研究会に所属しながら、全国の鉄道を撮り歩いていましたが、やがて鉄道以外の風景も撮るようになり、そのうち寺社行事も主な被写体となりました。当時住んでいた京都は、年がら年中どこかで寺社行事があると言っても過言ではないくらいで、あちこち出かけては写していましたが、一番はまったのは祇園祭山鉾巡行鞍馬火祭りでした。山鉾巡行は最後に山鉾が回る新町御池の角へ行けば、楽に最前列に陣取れましたし、鞍馬火祭りは狭い道ですぐ目の前を大松明が行き交い、祭の当事者と一体になってスリルを味わえるのが魅力でした。今はどちらもおいそれとは見に行けなくなったのが残念です。

 富山大学へ赴任してからは、寺社行事が一番メインの被写体となりました。富山には地方色豊かな祭がたくさん伝わっていますが、中でも八尾の風の盆城端のむぎや祭は一番のお気に入りです。
 しかし風の盆は近年観光客がうなぎ登りに増加し、年々撮影がしにくくなっています。毎年気軽に足を運べる地元に住んでいるからまだいいようなものの、遠来の方々にはお気の毒としか言いようがありません。だからといって八尾の町民に怒るのは大間違いで、おわら踊りは決して観光客のためのショーではありません。あくまで町民のための行事を「お邪魔して見せていただく」のであって、写真もその範囲内で「撮らせていただく」しかないのです。
 風の盆は人が多過ぎて風情がないとお嘆きの方には、城端のむぎや祭をお勧めします。麦屋節もおわら節と同様に胡弓が使われますし、「静」と「雅び」のおわら踊りに対して、麦屋踊りは「動」と「土臭さ」が特色です。県外にはあまり知られていないので、風の盆のような殺人的混雑もなく、ゆったりと鑑賞できます。

 祭という一つのテーマを追い続けてきた甲斐あって、最近になってようやくコンテストにも入選するようになり、これで「写真が趣味」と大いばりで言えるようになりました。一つでも誇れる趣味があるのは幸せなことです。今度は本業の論文でもレフェリー付き雑誌に入選したいものですが……。

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